新たな登場人物、揺るがぬ国内最速

15時30分から始まったオートクロスのPMセッションは朝の雨が嘘のようなドライ路面に。コースオープン前には15台以上が並ぶ盛況っぷりだった。

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ホンダテクニカルカレッジ関西が先頭でコースインしてすぐに注目チームが現れる。Newタイヤを手に入れて「出す気十分」の富山大学だ。入りから飛ばして1アタック目60秒台を出すと、その勢い止まらず2アタック目でタイム更新、60.114secをマーク。事前のエコパテストのタイムから見ると1秒近くタイムアップしたと見える。「Newタイヤが間に合って良かった」と話すように大会直前までNewタイヤが届くかという不安があり、Twitterで募集をかけるほどで、なんとか入手したNewタイヤだった。「スクラブしてなかったので2周目の最初の方までグリップが来なかった」と話す通り雨上がりの路面の悪さも相まって発動は厳しかったようだ。マシンは「直前のテストでスラロームの(サスペンションの)アジャストをしてきた」「燃調も最後の最後まで調整してスラロームでのツキがよくなった」とメンバー同士で讃え合う一コマも。タイムに一喜一憂してきたチームは達成感にあふれていた。

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それに岐阜大学が続く。ここまで走る機会に恵まれながらもタイムが残せていないかった岐阜大学。今年は10インチに変え、大会直前でハブ周りのトラブルが出るなど苦労が多いシーズンだったと見える。そんなシーズンを過ごしたチームがようやく出した60.018secは大きな成果だ。ただドライバーとしては「59秒は見えていた、入れたかった」と悔しさを滲ませる。10インチに変えた以外に膝周りのサポートを追加、プロフェッショナルフォーミュラカーにも見られるそれと似たものでドライバビリティ向上に貢献したという。低速コーナーで舵を入れるに難しさがあるが、基本的なマシンのバランスは良く、エンデュランスに向けても期待できそうだ。

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オートクロス開始45分、名城大学もコースインする。諸事情により午後のスキッドパッドにギリギリ滑り込んだチームは1発目にエースを投入。1アタック目に61秒台を出すと、2アタック目には58.974secを出して、暫定2番手。少し硬さがあるマシンを持ち込んだというドライバーは「路面の悪さもあってピーキーさが際立った」「発動感はわからないながらも1アタック目にしっかり温めてアタックした」とのこと。事前に「関西勢に食い込む」というコメントが出ていた名城、しっかり結果を出してきた。エンデュランスに向けてはピーキーさをアジャストしてロングに備えるとのこと。

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そして、クライマックスが訪れたの名城が走った5分後。おそらくすべての関係者、観客が釘付けになった京都工芸繊維大学のエースドライバーは少し埃っぽい路面に対して臆することなくマシンに鞭を入れる。1アタック目から57.474secを出すと、2アタック目にはドライビングに若干の修正を加えてタイムを更新。しかしコメントを聞きに行ったドライバーは意外にも悔しそうな表情。「56秒全然いけなかった」「2アタック目修正を加えたがT12で巻気味になってしまった」という。マシン自体も「合同テストから比べると食いつき感が減って、ヒラヒラ感も減った」「路面かもしれないが、少なからず車の要因もあると思う」とのこと。それでも名城を1秒以上離して57.296secでオートクロスを終え、圧倒的な速さを見せつけた。

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オートクロスのタイム合戦を目の当たりにして、改めて現地開催が帰って来たという実感が湧いてきた。