トラブル続出も関東勢を超えた名大・名工の快走【エコパ合同テスト】
8月4日から9日までの6日間、エコパで前半・後半に分けて合同テストが実施された。会場は静岡県袋井市のエコパ。後半にあたる8月7日から9日は名古屋大学や名古屋工業大学といった中部勢が参加しており、今回はその2日目にあたる。前半(ニュータイヤで61秒台、関東ICV勢が速さを見せる【エコパ合同テスト】 -学生フォーミュラ 学生フォーミュラのコラムサイト|KAERU JOURNAL)と打って変わり、後半は暑さが和らいだコンディションとなった。日差しはあるものの気温はそこまで上がらず、路面温度も前半よりも上がらなかった。前日は多くのチームでトラブルが発生したようで、この日は走れなかった分を取り戻そうと、各チームは朝から積極的にマシンをコースへ送り出したのだが・・・。


この日、トップタイムを記録したのは名古屋大学。前回のエコパテスト(ダスティな路面を見極めながら、ひとつずつ速さを見つけていく【エコパ合同テスト】 -学生フォーミュラ 学生フォーミュラのコラムサイト|KAERU JOURNAL)では1周もできず、その後もまともに走行できていなかったという。今回はマシンにいくつか改良を加えて臨んだものの、朝一番で出走すると電装系のトラブルでコースを周回できず、そのままピットに戻る展開となった。午前中はそのトラブルシューティングに追われたが、午後には無事にコースへ復帰。チェック走行ではマシンが大きく乱れ、スラロームではリアの振り出しが増幅するような挙動を見せた。そこからセットを変更して再びアタックに出た際に60秒台をマークした。ドライバーは、「それなりにトラブルは出たし、そんなに走れている訳ではないが、その割には良かった」「マシンは泉大津とも、前回のエコパとも違っていて、曲がる方向に変更を加えた」「フロントの主バネを落として、レイクもつけた」「またリアのトー剛性が気になったので、取り付け点を変更してきた」「午後走り出すとリアが砕ける方向だったが、キャンバーを調整すると安定する方向にいった」「そんな挙動の割にはタイムが出たなという」「ただドライバーとして余力はない、割といけるところまで行った感じの運転だった」と振り返る。明日に向けては、「タイムは出たが基本的にはリアが軽い傾向で、場所によってはリアが引っかかってしまうところもある」「Newタイヤを入れるとリアの引っかかりが勝手しまって、小さいコーナーとかスラロームで悪さをしそう」「明日はNewタイヤ想定の調整をしていきたい」「エコパとASEの違いもあるので、まずは共通するスラロームで見ていきたい」と語った。記録は60.7秒。エコパ合同テスト前半で工学院大学がマークした61.82秒を1秒以上上回る好タイムとなった。



2番手に入ったのは名古屋工業大学。前回のエコパではリアの軽さに悩まされたが、7月の泉大津でそれを解消。今回はその良い状態を維持したままエコパに臨んだ。前日はエンデュランスを想定したロングランの状態をチェックし、ある程度の手応えを得たという。この日はその流れを維持しつつ、さらなる調整が目的だった。朝から比較的早めにコースインし、チェック走行を開始。走り出しではややリアの軽さが見られたが、エースドライバーが交代して走行したタイミングで60秒台に突入した。しかし直後にマシンはピットイン。デフマウントの損傷が発覚し、走行続行は不可能と判断。ここでテストは終了した。トラブルを抱えながらも好タイムを出したドライバーは、「走っている途中で違和感があったが、タイムを出したかったのでいってしまった(笑)」「デフマウントが損傷し、チェーンが弛んで暴れたことでフレームにも傷がついてしまった」「ただ明日戻って来るつもりで対応する」と語った。無理を押して走ったようにも見えるが、チームとしてはこのドライバーの果敢な走りを前向きに捉えているようだ。前日に関東の複数チームが好タイムを出したこともあり、緊張感の高まる中で結果を残せたことは大会に向けた大きな自信となったに違いない。タイムは60.7秒。関東勢より前に出ることはできたが、泉大津に続いて名大の0.1秒後ろという悔しい結果となった。明日、マシンは戻ってくるのか。そしてさらなるタイム更新なるか、注目が集まる。



3番手には岐阜大学がつけた。前日はブレーキテストに苦しみつつも、なんとか通過してこの日の走行に臨んだ。前回のエコパからは、フロントのトー剛性を向上させる変更を加えた程度で、基本的なセットはそのままだという。朝はやや遅れてコースイン。前回は曲がらないマシンに手を入れて、今回はしっかり曲がるマシンに仕上げてきたが、走り出しはリアのスライドが目立った。S字やヘアピン、19コーナーなど速度域に関係なく、コーナー出口でアクセルを開けるとスピンモードに入りやすい挙動が見られた。そこでチームはリア周りを中心にセットを変更。その結果、リアは落ち着いた動きになっていったという。ドライバーは、「最初はリアがナーバスな状態で、アクセルを慎重にあけて行ってもある点を超える一気にブレイクする感じだった」「パワートレインで吸排気系を変更して、ギア比も変えているのでその影響はあると思うが、それ以上にシャシー側のキャパが低い状態だった」「セットを変更して、リアが出てから取り返しがつかなくなるポイントまでの時間を長くすることは出来た」「多少リアが出始めても、抑え込めるところには持って来られたと思う」「ウイング、Newタイヤの分を考えると62秒台は出るかな、出したいなというところ」と話す。しかしここで思わぬトラブルが発生。Newタイヤを試そうというタイミングで、左フロントのハブが破損した。「ブレーキローターのピンが破断して、ローターが暴れたことでハブを壊してしまった」「昨日ブレーキテストでフロントの効きが悪く、バランスをどんどんフロントに寄せていったが、それでフロントに負荷がかかってしまったのかも知れない」と振り返る。チームは来週8月15日、16日の泉大津テストを控えており、それまでに修復が必要だという。「今、ハブを新しく作ってくれる加工屋さんを探しているところ、なんとか直して泉大津に持っていきたい」と意気込んだ。タイムはUsedタイヤで64.9秒。(コメント後、加工先を確保できたとのこと)



この日は一日を通してトラブルが多く、前半の関東勢ほどマシンが多く周回する状況にはならなかった。それでも上位チームのパフォーマンスは間違いなく高く、名大・名工の走りは存在感を示した。もちろん、今年の大会からICVとEVでクラス分けされるため、名大・名工と関東ICV勢とが直接対決になることはないが、同じコースを走って似たようなタイムを出せば、互いに感じるものはあるだろう。静かに、しかし確実に火花を散らすチーム同士の意地のぶつかり合いは見ている側もエキサイトさせてくれる。
“トラブル続出も関東勢を超えた名大・名工の快走【エコパ合同テスト】” に対して1件のコメントがあります。
コメントは受け付けていません。