追撃の午前組、それぞれの目標に向けて飛ばせるだけ飛ばしたエンデュランス【学生フォーミュラ2025】
学生フォーミュラ日本大会2025は最終日を迎え、エンデュランスのグループA、そしてファイナル6の走行が行われた。最終日に出走したのは下記のチーム。午前中はICV、EVの順、午後はEV、ICVの順で、オートクロスの順位と逆順で出走する形となった。(リンク:Endurance Event Run Order)

注目は総合優勝がかかる同志社大学、京都工芸繊維大学が午前の枠に入った一方で、大阪大学が午後の枠となったことだ。さらに、前日の予報では朝から雨が予想されていたが、路面は完全ドライ。そして当日の雨雲レーダーでは午後組の走行時間帯に強い雨が予測されていた。追い上げたい午前組にとって極めて有利な状況となり、学生フォーミュラ日本大会2025最大の波乱が待ち受けていた。
上位勢の中で比較的早く走行したのは同志社大学。大会4日目のオートクロスではマシンの高い性能を示しながらもパイロンタッチに泣き、この出走順となっていた。優勝争いのかかるエンデュランスに対し、チームは「自分たちの目標はクラス2位」と明確に宣言。実際に走りは2位を守るためのペースに徹していたという。ドライバーは、「僕らは僕らなりの目標設定があって、自分たちのペース設定があったのでそれに忠実に走れたので結構満足している」「オートクロスではリアが軽くて、リアが抜けるような車だったのでエンジニアと相談して、スタビでアンダーに寄せて出した」「水温、油温、燃費が心配だったのでセーブして走っていて、プッシュすればもう2秒くらいはいけたかなと思う」「ただセーブして走ってあのタイムなら良いほうだと思う」「フラップは泉大津のテストの時から開けてシミュレーションしていたので、違和感はなかった」と振り返る。さらに「10年くらいかけて優勝争いが出来る位置に戻って来られたが、京工繊さんを見ると優勝に対する愚直さがまだ足りないとも思った」「(優勝を)狙える位置には来たので、来年は早い段階から速さを作れるようなチームにしていきたい」と語り、来季への決意を示した。同志社大学はエンデュランス3番手、クラス2位で大会を締めくくった。



午前の最終走行は日本自動車大学校と京都工芸繊維大学。それぞれ狙う位置は異なるが、飛ばさなければならない点は同じ。例年速さに定評ある2チームがフルアタックを敢行することになり、会場の注目を集めた。大会最終日時点でクラス4位争いにいた日本自動車大学校は、これまでの成績と先に走ったライバル、特にタイのKasetsart Universityとの争いに挑んだ。オートクロスでは0.2秒差でライバルに譲ったが、エンデュランスに向けてマシン状態は良好。強力な2人のドライバーを揃え、自分たちの走りを貫いた。後半スティントを担当したドライバーは「作戦は予定通り進められて、まず前半スティントでプッシュしてもらって、後半はタイヤマネジメントしながら走った」「(タイヤのコンパウンドは)R20を設定したのでタレの心配はなかった」「ここでテストが出来ないのでバンプには驚いた」「高低差も大きかった」「路面のμは聞いていたより食わないということはなく、自分たちの(学校の)コースに近い部分もあった」「オートクロスはタイヤの内圧など細かい調整が合っていなかったが、エンデュランスはセットも決まっていて良い状態だった」とコメント。結果はエンデュランス2位でKasetsart Universityを上回ったが、他審査の成績が響き、総合ではクラス5位に終わった。



一方、12年ぶりにファイナル6を逃し、大会最終日の午前に回った京都工芸繊維大学。今年は動的競技で悪い流れを断ち切れず、苦しい戦いを強いられた。その要因は排気系と、クラッチのトラブル。大会4日目の朝からクラッチの引き摺りが発生し、さらに直前に導入した排気系の影響もあり、オートクロスやスキッドパッド、アクセラレーションで結果を残せなかった。大会5日目には積極的にプラクティスを重ね、エンデュランスに向けてセットを煮詰めた。エンジニアは「(オートクロスを走ってみて)泉大津に比べてASEは路面のグリップレベルが低く、頭が入らず外に押し出されるような感じだった」「振動系を変更するのは怖かったので、アライメントを調整して曲がる方向に振った」「同志社さん、阪大さんに対してはフルプッシュが必要な状況で、どれだけ速く走れるかが勝負だった」「佐藤(セカンドドライバー・後半スティント)が本当に良い仕事をしてくれた」「テストでは吉田(エースドライバー・前半スティント)に対して0.5秒差ほどで走ってくれた」と語る。ドライバー陣の奮闘もあり、チームはエンデュランス1位を獲得し、大会4連覇を達成した。


