2021 公式記録会#1

中止となった2021年学生フォーミュラ動的審査の代わりに3日程で開催される『公式記録会』、その1回目が10月24日に開催された。各日程14チームがエントリーする中、1回目は12チームが参加したようだ。


記録会については公式通知No.17で案内されており、午前にスキッドパッド、アクセラレーション、オートクロスが行われ、午後にエンデュランスが行われる。またこの公式通知の中に記載は無いが、オートクロスは1ドライバー1アタックのみ、エンデュランスは大会時の半分の10周を2ドライバーで走る。学生フォーミュラ公式Facebookでタイム速報が投稿され、残り2日程についても同様に速報が出される予定とのこと。以下、タイム速報を整理したもの。

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この日スキッドパッド1位は名城、4.922秒は2019年大会なら2位に入る好タイム。アクセラレーションを『お家芸』に持つ千葉が1位、ここでも存在感を示した。

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オートクロス、エンデュランスも名城が1位を獲得、そしていずれも2番手には北海道大学が入った。記録会1回目開催直前には全国的に一気に冷え込み、車両もドライビングも悩ましいコンディションが予想された。実際に走ったドライバーたちに当日の状況を聞いた。

『消極的になって攻めきれなかった。』
見事一番時計を獲得した名城、この記録会に向けていくつかネタを仕込んでのぞんだようだ。

『(路面温度に対して)エアーは事前の走行テストでいろいろ試して、タイヤも柔らかいコンパウンドを用意した。』『車両は主に減衰を調整して持ち込んだ。』とのこと。加えてフロントウイングも新設計のものだとか。

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それでも完全コールドタイヤからのオートクロスには苦労したようだ。『コースの前半は全くタイヤが作動しておらず、ミスが目立った。』『2年ぶりのエコパでパイロンを跳ねずに攻めなければいけなかった。消極的になって攻めきれなった。』とのこと。後述の北海道大学も含め今回参加した12チーム中10チームは去年、今年とエコパ走行実績がない。シリアスなドライビングになるのも致し方ないか。

それ以上ない順位でオートクロス終えた名城だが、若干のセット変更をしてエンデュランスに備えたという。『(オートクロスは)フロントの入りがいつもより悪く感じた。』『フロントのトー角と輪荷重の調整をした。』とのこと。結果として調整は不十分だったという。エンデュランスについて『初期の発動を気にして(タイヤの)エアーを高めていったが、序盤にタレてタイムが伸びなかった。』『走行ラインを探っている間に(自分のスティント)5周が終わってしまった。』と話し車両の限界を100%発揮出来たとは思っていないようだ。

今年で学生フォーミュラを引退する彼は今回の記録会をこう締めくくった、『たった5周しか走れませんんでしたが、今のマシンの悪い点や良い点が分かりとても有意義な一日だったと思う。』『来年にむけて良いデータが取れた。』

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名城のタイムを追うチームは次回10月30日に参加する阪大、最終日10月31日に参加する名工、名古屋、京大、NATSが待ち構える。ただし、ドライバーの世代交代や天候、コンディション等によっては名城の全日程トップタイムの可能性も残る。残り2日程にも注目だ。

『もう1周行きたい!』
3年ぶりのエコパ走行となる北海道大学、ドライバーは『路面温度に対しては特に対策はしなかった。』『ドライバー慣熟を最優先に』と話す。一発勝負となったオートクロスについて聞くと、『(持ち込んだセットだと)アンダーステアが強く、(アクセルを)踏み込むとスナップする状態で、無理矢理タイムを出した感じ。』とのこと。それでもパイロンタッチ等のペナルティは無しで堂々の2番手タイム。ラップ後半ではタイヤの発動が感じられたらしく『もう1周行きたい!』と思ったそうだ。

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カウル関係の修繕に時間をつかって、オートクロスのセットのままエンデュランスに臨む。走り出した1コーナーは『オートクロス(アタックラップ)後半の感覚で行くと全くグリップしなかった。』と話す。2周目以降は少し熱が入って徐々にタイムを上げている。

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実際、北大のタイム推移(グラフ上から3本目、紺色)を見ると名城(グラフ1番上、水色)や千葉(グラフ上から2本目、灰色)に比べて平均タイムは低いものの山谷無く安定してラップしている。ドライバー自身も『各校のドライバーと比較してもタイムを安定させることが出来たので良かった。』とポジティブに捉えている。ただし走行後のタイヤはグレイニング(表面のささくれ)が目立ち、セット、ドライビングともに課題になりそうだ。

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以下、コメント抜粋
『まずは、3年振りにエコパに戻ってくることが出来て感無量だった。2年前の大会に出場出来ず、悔しい思いをしながら見学していたことを思い出し、なんとも言い難い気持ちになりました。

また、大会で走らせることを知らない中で懸命に作業を行ってくれていた後輩達には感謝していますし、大会出場が叶わなかったにも関わらずサークルを辞めずに残ってくれたメンバーにも感謝しています。

他のメンバーがどのような思いで記録会に臨んでいたかは分かりませんが、みんなの想いを乗せて走行するドライバーとして、最低限納得出来るタイムを残したかったため、今回それなりのタイムを出せたのは良かったと思います。』

『来年度の車両は最低限軽量化を行うこと。低重心化をすること。』

『また、我々の出場している学生フォーミュラはモータースポーツであり、そこをしっかりと理解しないと良い車両は製作できないし、良いタイムは出ないということを教育したいと思っています。』



待望のエコパで、しかも速さでしっかり結果を出した北海道大学。厳しい環境の中でも車両を作り仕上げ、確実に走らせるチーム力には驚いた。