この結果、夢か現か
ホンダテクニカルカレッジ関東、日本大学理工学部が完走を果たしていい雰囲気で始まったエンデュランス1日目は直ぐにサバイバルレースの様子を呈す。そんな中、予想外なチームが生き残った東京都立大学だ。彼らが7月のエコパ合同テストに持ち込んだマシンはお世辞にも車検に通るようなものではなかった。その時もブレーキや燃料のトラブル、チェーンが脱落する等のトラブルが出ていた。そんなチームが実質大会参加2回目にして車検を通過、エンデュランス完走までをやってのけた。エンデュランスを担当したドライバーの第一声は「なんか本当に現実なのかなっていう感じ」「(走る前は)オレンジボールかエンジン再始動出来ずに終わると思っていた」と想定外の結果にまだ実感が湧いていない様子。ただマシンのフィーリングは「こいつ行くな、こいつ走るぞと感じた」「基本的には安心感があった」とドライバー2人揃って同じようなコメント、マシンを信頼出来ていたようだ。
「ステアリングが重くて、右に引っ張られた」「腕がしんどくて曲げられない、コースに留まるためことを優先した」「マシントラブルはCVT、特に後半がひどく予期せぬところ(ギア)に入ってしまった」とマシントラブルに苦しめられた、さらにパイロンをノーズ下に挟んだままの走行だったのは東京大学。まさに満身創痍の車をドライバー2人が繋いでチームのところに戻ってきた。この時コース上で何度も止まる姿を見ていた観客、ライバルからも大きな歓声、拍手が聞こえた。チームのリビルドをして、8年ぶりにエンデュランスを完走、ようやく戻ってきた印象の東京大学だが「来年こそはもっと速いタイムで完走したい」という言葉の通り目指すところはまだ上の方か。
チーム初、カーナンバー1を背負ってのエンデュランスに挑んだ神戸大学だったが、残念ながらT18でパワーを失いリタイアとなった。原因はガス欠。今年のマシンは吸排気はキャリーオーバー、燃調マップを改善して加速力アップを狙ったというが、大会に持ち込むと騒音クリア出来ずエンドパイプを変更。それで騒音をクリア出来たが、出口径を絞ったことで加速が落ちるため燃料を濃くした。その結果エンデュランスで燃料が足りなくなったという。「エンデュランス前に燃調マップを戻していたら完走出来たかもしれない」と振り返ったチームに必要だったのは5周分の燃料だった。
どの競技でもその時の流れというのがあって、それに乗れるかどうかで結果が変わることもある。1日目のエンデュランス最終枠で登場した帝京大学は確実に良い流れに乗っていた。スムーズに車検を通過し大会3日目のオートクロスに1番乗りで登場、ウェットのスキパでタイムを残したマシンとドライバーはエンデュランスでも元気に走る。後半リアタイヤがキツそうに見え、最終コーナー、スラロームでリアが振られる動きも見られたが後半担当したドライバーは「後半はタイヤもブレーキも熱が入っていて安定して走れた」「タイヤのタレも感じてリアが滑ることもあったが、意図的に滑らせるコーナーもあった」とのこと。帝京のマシンはデフロックという仕様上、意図的なスライドを使った方が走らせやすいとか。良い流れに乗って存在感を示した帝京大学、伸び代十分今後に期待だ。