しびれるフルアタック、速さで魅せた岐阜大と農工大【学生フォーミュラ日本大会2024】

写真:公益社団法人 自動車技術会

9月14日午後から学生フォーミュラ日本大会2024の最終イベント、エンデュランスファイナル6が行われた。ここに進行の都合上、1チームが追加されてファイナル7という異例の形が取られた。

追加された1チームは岐阜大学。オートクロスを失敗して実力とは異なる位置でのエンデュランスかと思われた岐阜大学だが、結果的に最終日の午後という枠での走行となった。前半スティントにエースドライバー乗せる戦略を取った岐阜大学。タイヤが新しい間にエースドライバーにプッシュさせてタイムを稼ごうという意図だったとか。結果としてこれが今年のエンデュランスファイナルをよりエキサイティングなものにした。

エースドライバーは1周目1分16秒台で入ると、2周目には1分14秒台を出して会場を沸かせる。それでは終わらず、さらにプッシュを続け3周目には1分13秒台にいれるとそこから10周目まで1分13秒台を続け、なんと最終ラップに全体ファステストタイムとなる1分13秒371はマーク。午後の天候は晴れ、路面温度も上がっているなかタイヤの落ちも感じさせることなくロングランを続ける岐阜大、ここはエンデュランスでの速さをテーマに据えて開発を進めてきたチームとエンジニアの成果である。「初めての路面に合わせ込むという点で未熟さを感じるがまずは及第点が取れたと思う」といつも自分に厳しいエンジニアはこの日の速さに及第点をつけた。それだけ岐阜大の速さは素晴らしかった。「低速コーナーできちんと回るけど、トラクションがかかる車を目指してきた」とエンジニアが言う通り、岐阜大のリアは常に健全で、路面を掴んでいた印象だ。特に11コーナーの進入でリアを振り出す(出てしまう)マシンが多い中、岐阜大のマシンは接地を維持しながらスムーズに旋回している。さらに2コーナーの出口でもストレートに対してしっかりと向きが変わっているように見えた。

ドライバーも今日のマシンに「いい状態で走れたと思う、事前のテストを生かせていた」「ブレーキバランスでロスが出ている箇所はあるが、それ以外の中高速のコーナーは攻めやすくて良かった」「今年の車はリアがある車で、それを曲げる方向にセットして良いところを生かしながら速さを出せていたと思う」と語る。また「チームとしても、車としても大変な1年だったのでこういう結果で終われて本当に良かった」「オートクロスでタイムを残せていなくて、悔しかった」「その思いを(エンデュランスに)ぶつけて結果が出た」と苦労が報われたことに安堵する表情も見せた。

岐阜に続いて速さを見せたのは東京農工大学。岐阜大同様にエースドライバーを前半スティントに乗せてきた。おそらく意図も岐阜大と同じようにフレッシュなタイヤでアタックさせようというものだろう。パイロンタッチはあったものの、爆発的な速さを見せた農工のエースドライバーに期待の目が向けられた。1分17秒台で1周目を終えるとドライバーはマシンにムチを入れ始める。2周目1分14秒台を出したところで『岐阜大と同じところまで出るのでは?』という予感をさせると、その通り3周目に1分13秒台に入れて見せた。そのタイムは1分13秒423と、岐阜大の出した全体ファステストと0.052秒という僅差。そこから1分15秒台のラップを挟みながらアタックを続けて、1分13秒台を何度か出すがタイム更新ならず。前半スティントを終える。「オートクロスでオーバーだったので、エンデュランスに向けてはリアのアライメント等セットを変えて臨んだ」「マシンの状態は決まっていて、気持ちよく攻めることができた」「(マシンの)調子が良く攻め続けたが、あれがいっぱいだった」「それでもマシンも良くて、ああいうみんなに観てもらえる場所で走らせてもらって、タイムも出て、ただただ楽しかった」と語るドライバーは達成感と満足感に溢れていた。