国内メーカーの学生フォーミュラ専用ダンパー
学生フォーミュラについて「見に行ったら、これ競技としてすごい面白いと思った、道具を使った甲子園やな!と」「(自分たちの製品も)性能を追いかけていかないとだめだと思った」「自転車用を使ってるところもあるが足りないと思う」「(減衰が低いところに)バネレートだけ上げてもだめだと思う」「タイムが出ているところは専用品を使っている印象」と話す開発担当者、専用とされるのは短いストロークで減衰を出すところ、加えて車両重量の幅に対応するところだという。「EVも出てきて、170kgあたりから300kg以上の車重のマシンがいる」「それを一つの製品でカバーしないといけない」「減衰調整の幅を持っておかないといけない」と話す。
ただ基本スペックは学生たちに委ねられているらしく「NATS(日本自動車大学校)さんでセッティングした仕様で良いというチームもいるが、千葉大学さんなんかはオリジナルの減衰特性のリクエストが出てきた、NATSの仕様とは全く違う」とのこと。
海外メーカーの専用ダンパーは複雑な構造(レース用ダンパーと同じ構造)なものがあったり、高速側の調整機構を持っていたりと多機能である。それに対してRS-Rのダンパーはモノチューブで調整も低速側のみ。その点について話をすると「(学生たちが)ダンパー(セットアップ)にかける時間がそこまでない」「セッティングの幅を広げるだけでは学生たちにとって良いサービスにはならない」「マシンを作って走らせながらドライバーからのフィードバック等を元にタイムアップに繋げていってほしい、そうなってやっとうちら(RS-R)の出番かなと」「学生フォーミュラってトライアンドエラーじゃないですか」「シムスペックで減衰も変えられるからトライしてほしい」「そうしたトライアンドエラーが出来るのも我々(国内メーカー)のいいところ」とも。
2022年大会は速さに加えて総合順位でもRS-Rの専用ダンパーを採用するチームが上位にきた。これについて開発担当者は「最初はうちのダンパーが通用するのか、学生たちの要望に答えられているのか心配していた」「(RS-Rを採用するチームの)タイムが出ないとエンジンなのか、ドライバーなのか、いろいろ考えたりもした」「そういうのが段々と形になって来たのが2022年だったなという思い」とのこと。
「うちらはシェアを取りたいという思いはなく、拡販もあまりしていない」「もっと他のメーカーさんも出てきて、その中の選択肢でありたい」という言葉からはメーカーも道具を使う競技を楽しみたいという思いが感じられた。