合同テスト最終日に名工が総合トップタイムを記録、速い名工が戻って来た【エコパ合同テスト】

8月4日から9日までの6日間、静岡県袋井市のエコパで開催されてきた合同テストの最終日、前日(トラブル続出も関東勢を超えた名大・名工の快走【エコパ合同テスト】 -学生フォーミュラ 学生フォーミュラのコラムサイト|KAERU JOURNAL)に引き続き名古屋大学や名古屋工業大学など中部勢が集まった。この日から福井工業大学も加わった。1週間前の予報では雨の可能性もあったが、当日は晴れのドライコンディション。それでも前日より涼しく、路面温度もあまり上がらなかった。チームは前日からのさらにトラブルが増え、午前・午後ともマシンが止まる時間が続いた印象。その中でも、名古屋工業大学、静岡大学、トヨタ名古屋自動車大学校はドライバーを交代しながら比較的多く周回を重ねていたようだ。

前日、走行開始早々にデフマウントを破損し、走行を断念した名古屋工業大学は、修復を終えて朝からテストに復帰した。デフマウントのフレーム側やチェーン接触痕を再溶接で修正したと見られる。だが、コースイン直前にマシンが始動せず、原因は修復作業時のバッテリー再搭載時の不備と見られた。午前中の大半をこのトラブルの対応に費やし、本格的な走行は午後からとなった。午後の2回目のアタックで60.4秒をマークし、チームが沸いた。ドライバーは「泉大津ベースというところは持ち込みから変えずに走った」「路面のバイト感とかタイヤのマイレージが異なるところはあるが、泉大津の時と変わらずコーナーミッドで扱いやすく、出口で粘りのあるフィーリングが得られた」「ただフロントの摩耗が進んでいて、またコンディションとビタビタに合わず、強いブレーキングで姿勢を乱すところがあった」「それが無ければ59秒台に乗せていけたと思う」「もう少しドライビングで出来たことがあると思うので、気持ちとしては悔しい」と振り返った。低速コーナーでのパフォーマンスが向上し、一発のアタック用セットは仕上がった様子。大会に向け、インバータの熱対策やタイヤマネジメントなどエンデュランス仕様の準備を進めるという。

この日、最も注目を集めた名古屋大学はトラブル続きで走行が伸びなかった。いずれも長期修復を要するものではなく、直してはコースインを繰り返す形だった。ドライバーは「昨日の最後に試したものを盛り込んで朝コースに出た」「感触が良かったのでドライバーを交代した」「タイヤ起因で4輪ともグリップが低いところはあったがバランスは良かった」「その後はエンデュランス向けのデータ取りのための走行に切り替えた」「ただ途中水漏れと電装トラブルであまり走れなかった」「今日のタイムとしては残せなかったが、パフォーマンスとしては名工を追えるし追い抜くものがあると思う」とコメント。タイムは63.2秒で2番手、前日のトップタイムから勢いを伸ばせず安定感に課題を残した。チームはこの後、泉大津、茂木での合同テストや夜間サーキット走行を予定し、大会へ向けた追い込みを図る。

比較的周回が多かった静岡大学も午前中はバッテリーシステムのエラーに見舞われた。車体からバッテリーを降ろし、朝から大掛かりな修復作業に追われた。復帰は午前セッション終了間際。Newタイヤを履き、修復確認と同時にスクラブ走行を行ったと見られる。このNewタイヤは本来前日に使用してアタックする予定だったが、現地でビードが上がらないことが発覚。空気を入れて試すも改善せず、アタック機会を逃したという。ドライバーは「1回目のアタックはフルパワーで行ったがシャシー側受け止められていない感じで、2回目のアタックの時は80%に落とした」「またACCの温度が下がらなくて、1回の周回数を減らして走らせた」「それでアタックの機会も少なく、目標にしていた65秒台に届かず、ドライバーとしても技量が足りないところがあって申し訳ない気持ち」と語った。タイムは66.9秒でこの日の3番手。今年は完走を最大の目標としており、バッテリー温度を気にしながらの走行を続けたが、ドライバーは速さへの悔しさもにじませた。

これで6日間にわたるエコパでの合同テストは終了した。各チームの位置関係もおおよそ見えてきた。全日程トップタイムの名工、同等のタイムを記録した名大、そして泉大津で両者に並ぶかそれ以上のタイムを出した京工繊が最上位層。その1秒以内に阪大と九工大、さらにその下に工学院とNATSが続くと思われる。茂木やJARIの結果からは、東大と千葉がこの2チームに迫っても不思議ではない。泉大津で周回を重ねながらもNewタイヤでのアタックに苦戦する同志社、神戸、立命館がその下の集団か・・・と、勝手な予想はできるが最終的な答え合わせは大会本番でしか分からない。ここから大会までの1ヶ月での変化も追いながら、大会での走りを楽しみに待ちたい。