ユーズドタイヤとニュータイヤ、上手に使えるチームはどこだ【関西合同テスト】

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6月の合同テスト(中部勢が迫るも、チャンピオンチームの強烈な一撃【関西合同テスト】 -学生フォーミュラ 学生フォーミュラのコラムサイト|KAERU JOURNAL)から1ヶ月後となる7月26日・27日、大阪・泉大津で再び合同テストが開催された。京都工芸繊維大学、大阪大学といった関西勢に加え、中部から名古屋工業大学、九州から九州工業大学もマシンを持ち込んだ。天候は晴れ。1ヶ月前より明らかに気温は高く、風が吹いていたとはいえ体感としては厳しいコンディションとなった。朝の路面温度は50℃を超え、さらに先週のエコパ同様、早朝の路面はダスティな状態で、悩ましいスタートとなった。

今回もトップタイムを記録したのは京都工芸繊維大学。今回から追加されたサイドポンツーンに加え、フロントのサードエレメントはダンパー+イナーターからイナーターのみの仕様に変更されていた。多少のトラブルもあったが淡々とテストを進めたエンジニアは、「(泉大津合同テストのあと)前回のテストで良いセットを見つけて、それで持ち込んで確認した」「泉大津の後で、イナーターの設定やダンパーの設定を見直したところ4輪グリップするところが見つかった」「朝イチは下手に滑っているのにセットを合わせたりはせず、パワトレの適合に時間を使って、ロングもした」「午後は程度の良いタイヤにかえて、セットの確認とアジャストもしたが、リアのスライドは残ったままだった」「そのあたり明日に向けて修正していきたい」と振り返った。前回の泉大津テストではスラロームや1~2コーナーの動きが不安定だったが、今回は落ち着きが見られた。一方でMコーナーのような深いコーナーでは、依然として出口に向けてスライドが大きく残っており、さらなる調整が求められる。ベストタイムは70.3秒。コース長が若干変更されていたため、前回とのタイム比較は難しい。

走行終了後に晴れやかな表情で迎えてくれたのは大阪大学のエンジニア。前回の泉大津テストでは2日間とも振るわず、京都工芸繊維大学の背中すら見えなかったが、この1ヶ月で流れを変えてきた。「前回は古いタイヤで、いつもと異なるコンパウンドで走っていてよくわからない状態だった」「その後のテストで正しいタイヤに変えて走ったら謎が解けて『あ!そういうことか!』って感じだった(笑)」「今日の持ち込み状態はリアが軽いのがわかっていたので、それを抑えるアイテムを試した」「午後、路面が良くなったコンディションでもリアが止まりきっていなくて、アイテム切れだった」「その車でタイム出せたのは、かいち(ドライバー)の根性分があった(笑)」と語る通り、今回は走りの手応えをつかんだ様子だった。前回はグリップのないタイヤに合わせて無理にPOUやアライメントを調整し、結果的にタイヤに過度な負荷がかかっていたが、今回は一度リセットした上で効率の良い方向にセットアップを変更したようだ。タイムは71.0秒でこの日の2番手。京工繊との差はまだあるが、ついに1秒以内に迫る。不気味に微笑むノーズの牙は戦闘モード突入の表れか。

3番手タイムは九州工業大学。前日にフェリーに乗り、今朝大阪入りした九工大は、この日最初にコースインし、その意欲の高さを見せた。しかし待っていたのは泉大津特有のダスティな路面。コース設営時にブロワーで清掃されたものの、砂利が多く、最初の走行は前後ともにまったくグリップしない状況だった。ドライバーからは「さらさら!」と苦笑い混じりの第一声が飛び出す。ドライバーは「(朝は)こんな食わないんだって、これまでの合わせてきた持ち込みセットが不安になった」「そこからPOUの設定を変更したのが大きかった」「進入から定常にかけて向きが変わる車だったのが、定常で向きが変わる車になって安定して速い動きになった」「だいぶ挙動が変わって、ちゃんとトラクションかけて前に進んでいけるようにもなった」「Newタイヤを履いてもバランスが大きく変わることはなかったが、進入でアンダーだったところがなくなって、直線に向けて加速できるようになった」とポジティブに振り返った。ただしNewタイヤの性能をまだ十分に引き出せておらず、計測ラップをまとめきれなかったようだ。とはいえ、Newタイヤ投入後は周回を重ねるごとにタイムが向上し、最終的には71.5秒を記録。京工繊に1.2秒、阪大に0.5秒差まで迫り、確かな存在感を示した。

午前中は路面状況を見ながらアクセラを走らせ、午後の周回走行に備えるというクレバーなランプランを見せた神戸大学も、九工大と同じタイミングでNewタイヤを投入した。初回のアタックは73秒台で九工大と同等だったが、その後の伸びが見られなかった。一方、名古屋工業大学はUsedタイヤで迷子状態に陥った。泉大津の前回テスト、さらには先週のエコパでもセットアップを詰めてきたが、今回はタイムが伸び悩んだ。果敢にコースに出てセット変更を繰り返したが、光明は見出せなかった。マシンの動き自体には速さを感じさせるものがあるだけに、明日への巻き返しに期待したい2チームだ。

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