雨中の路面変化を捉えながら臨機応変にメニューをこなす【日大理工テスト走行】
8月11日、日本大学理工学部船橋キャンパスでテスト走行が行われた。船橋キャンパスには自動車や小型飛行機などの試験に用いられる試験路があり、日大理工学部の学生フォーミュラチームはここを常用している。今回は大会コースの半分ほどの距離の周回コースが設定された。このテストには日大理工学部をはじめ、上智大学、千葉大学が参加した。天候は朝から雨と風が強く、路面はウェット。路面全体に薄く水が浮き、場所によっては水溜まりも見られた。


主催の日大理工学部は、前回エコパで発生したエンジントラブルを解消し、順調に準備を進めてきた。今回の走行目的はドライバーの習熟とウェットタイヤの性能確認。エースドライバーによるチェック後、セカンドドライバーへ交代するが、スピンを喫するなど難しいコンディションに苦戦していた。チームはSENTURY製ウェットタイヤの挙動を確認。水が多い箇所では引っ掛かりを感じる場面もあり、ドライバーからも一定の好評価が得られた。昼前の12時から13時にかけて晴れ間が広がり、路面が乾き始めたタイミングでエコパに続きContinental製スリックタイヤをテスト。エコパ時より路面温度が10℃以上低い中でも同様のフィーリングを得られ、コールド状態からある程度グリップ感が得られたという。その後は降雨が減少し、最終的にほぼドライ路面となったため、セカンドドライバーで周回を重ねて走行を終えた。



この日、最初にコースインしたのは千葉大学。世代交代の年にあたるが、オペレーションは安定しており、上位チームの風格を保っている。序盤でシフターにトラブルが発生するも、早期に割り切ってテストメニューを優先。この判断の早さはやはり上位チームに共通する部分だ。今回は7月のJARIテストで得られたデータをもとに冷却系の確認を予定していたが、雨の影響で完全には検証できずとも一定の成果を得たという。さらに、エンデュランスシミュレーションにも取り組み、17周×2スティントというタフな条件をドライバー交代込みで完走。昨年大会ではエンデュランスの後半スティントでリタイアしていただけに、まずは同等距離の完走に安堵していた。加えて、フロントにLC0、リアにR20を装着しての初ロングランを実施。路面温度が低いため気にしていた熱ダレは確認出来なかった一方で、フロントにR20を履いた際よりもグリップの立ち上がりが良いという評価が得られたようだ。



完成度の高いマシンを早くから仕上げてきた上智大学は、千葉大学、日大理工にやや遅れてコースイン。スキッドパッドでのチェック走行を終え、周回コースへ向かうも半周でマシンがストップ。ピットに戻って修復し再走を試みるが、同様の症状が繰り返され、午後には走行不能に。原因は電装系のマイナートラブルで、この日のうちに原因を特定し、次回JARIテストまでに修復を行う予定だそうだ。



良くも悪くもドライアップが早い路面と断続的な降雨により、路面状況がコロコロと変わり、チームにとっては非常に悩ましいテストだった。チームはウェットタイヤからスリックタイヤへ、またスリックタイヤからウェットタイヤへ、何度も交換している様子が印象的だった。関東勢はこの後8月16日、17日とJARIでの合同テストが予定されており、この日はその合同テストに向けた準備といった様子だった。JARIでは大会想定のフルコースが用意され、本番に向けたセッティングがさらに煮詰められる見込みだ。
“雨中の路面変化を捉えながら臨機応変にメニューをこなす【日大理工テスト走行】” に対して1件のコメントがあります。
コメントは受け付けていません。