いよいよ走行開始。持ち込みセットはアタリか、ハズレか。【学生フォーミュラ日本大会2024】

9月9日から14日まで愛知県常滑市のAichi Sky Expoで開催されている学生フォーミュラ日本大会2024は、4日目を迎え、いよいよ動的審査が始まった。8時から開始されたオートクロスでは、新しいコースに対してどれくらいのタイムが出るか注目が集まった。オートクロス開始後40分、11台が走行した段階で、大阪大学がセカンドドライバーを乗せてコースイン。1周目は70秒台で回り、落ち着いたスタートを切った。パイロンとの距離感もある程度とって、コース慣熟をした印象だ。2周目からは明らかにペースアップし、攻めの走りに変わった。「1本目はチームから指示で落ち着いて冷静にいった」「(コース、マシンの)フィードバックの役割もあって、感触を確認しながらいった」「1本目終わったところでパイロンタッチが無いこと、ちゃんとタイム出ているという無線が入ったので2本目はめちゃ気持ちよく走れた」「コースはバンプするところはあるが、路面はすごくいい」「ちょっと小砂利が乗っていて、『右右」でアウトのタイヤがあんまり踏ん張らない感じ」「砂利が乗ってないところはミューあるのに、ちょっとでも(砂利が)乗っているとジリジリと滑る感じ」「マシンの持ち込みはばっちり、めちゃくちゃいい状態」「景色が開けていて、圧迫感なく走っていて気持ちいい」と、ドライバーはポジティブなコメントを残した。昨年タイム抹消の悔しさを味わった大阪大学は、ここで暫定2位のタイムを記録。走行後のチームの動きも良く、順調に競技をこなしている。

9時を過ぎると、注目チームが次々とコースイン。午前のオートクロス終了30分前を狙ったか日本自動車大学校(NATS)が登場。今年もウイングレスのマシンで挑戦。スクラブしたタイヤでスタートしたマシンは回頭性良い印象で、新しいコースに合わせて良く曲がる方向に仕上げて来たようだ。「(コースは)バンプが酷いかなと思ったがそこまででもなかった」「エコパよりも路面がきれいな分走りやすさもあった」「事前のプラクティスでタイヤを温めて臨んだ」「気温も高く、作動する温度までに持っていけた」「1周目からしっかりタイヤは(グリップが)来ていて、あれ以上のアップはないかなという感じ」とコースとタイヤの関係は良い状態でオートクロス臨めた様子。「Mコーナーがきついのがわかっていたので、くるくる回るようなマシンにしてきた」「ただ、スプーンから逆Sでオーバーが出て攻めきれなかった」と少しやり過ぎた印象はあるが、マシンの方向性は間違っていなさそう。午後に向けては進入でのスタビリティを上げる方向で調整していきたいとのこと。タイムは68秒台で暫定3番手。今年も動的に強いNATSは健在だ。

次に出てきたのは昨年王者、京都工芸繊維大学。こちらもセカンドドライバーを乗せてコースイン。今年フロント周りを中心にセッティングに悩んでいた印象の京工繊だが、最終的にはいつもの京工繊らしいマシンに仕上げてきた。フロントのしっかり感があり、ドライバーの操作に対して応答が早い印象だ。リアも軽すぎず、良い塩梅で回り込むようになっている。ライバルが1周目を様子見で走るなか、攻めた走りで66秒台を出して会場も一瞬ざわつく。「起伏の位置やグレーチングの位置を頭には入れていたが、割と泉大津と同じようにいつも通り走った感じ」「マシンは泉大津のほうが若干感触は良く、少しフロントが入っていかない、スラロームでリアが出るところがあった」と話す。好タイム出して、さらにタイムを伸ばすかと思われた2周目はスプーンコーナーではスピン。ドライバーは「正直1本目でタイムがこんなに出ていると思ってなかった」「自分の中では(1本目で)大きなミスがあった、2本目で取り返そうという焦りがあった」「スプーンで欲張って入ってしまってスピンしてしまった」と上手く噛み合わない部分もあったか、ドライバーとしては険しい表情。それでも堂々の暫定1位タイム。午後のエースドライバーアタックにも期待が寄せられる。

その後に岐阜大学がコースイン。今年マシンのセッティングの方向性を大きく変えてきた印象の岐阜大学。小さいコーナーの多いコースに合わせて回り込みやすい動きを作ってきたようだ。今年はベテランドライバーが1人抜けて、若手がセカンドドライバーを担当している。そのセカンドドライバーは「タイム的にはいい感じだが、1本目で路面の感触が掴めたくらいで、コースに合わせた走りが出来たかというと微妙」と話す。初めてのオートクロス、走らせ方に難しさを感じたようだ。それでもマシンの仕上がりは良いようで、「持ち込んだマシンの方向性は間違ってない」「Mコーナーはすいすいと曲がれる感じで、低速コーナーは割と良い」「ただダブルヘアピンとかでトラクションがかからない感じがする」「最後の調整が上手くいけばいけるかなという感じ」とドライバーは冷静なコメントだ。

オートクロスを走ったドライバーのフィードバックだが総じてアスファルトのミューは高そう。まだダスティでここからの路面の上がり代に期待される。前情報で速さが期待されている工学院大学、名古屋大学、国士舘大学などは午前中に走行が出来ていないため午後に向けてどんな戦略で動いて来るか、そしてどのポジションのタイムを出してくるかも注目だ。午後のオートクロスは15時半から90分の予定、各チームエースドライバーを乗せた本命タイム合戦が今から待ち遠しい。