学生フォーミュラ2026 もてぎ合同テスト|雨が残した難コンディション、セカンドドライバー争いも白熱

Text : 蛙田 三也(Sanya Kaeruda)
Photo : 堀田 拓哉(Takuya Hotta)

 6月20日、21日の2日間にわたり、モビリティリゾートもてぎ南コースで開催された合同テスト。2日目は前日に引き続き、工学院大学、千葉大学、茨城大学など関東勢が多数参加し、さらに東北大学、新潟大学、東北学院大学も加わった。前日の走行終了間際から降り始めた雨は、最終的にフルウェットとなり、そのまま朝方まで降り続いた。コース上には大きな水たまりができるほどの水量が残る。学生フォーミュラが走るには起伏が多く、アスファルトの継ぎ目も目立つもてぎ南コースは、もともとバンピーな路面だ。そこへ大量の水が加わったことで、さらに難易度の高いコンディションとなった。それでも各チームは一番乗りを狙い、ウェットタイヤを装着したマシンで暖気エリアに並ぶ。早く走らせろ!言わんばかりにブリッピング音を響かせ、コースオープンの瞬間を待ち構えていた。

連日のトップタイム、セカンドのシートをかけたドライバー選考

 前日、2番手以下に1.5秒以上の差をつける圧倒的なタイムを記録した工学院大学も、朝一番からコースイン。スプーン出口には池のような深い水たまりができていたが、マシンはそこへ躊躇なく飛び込んでいく。大量の水を踏んでも挙動を乱すことはなく、路面をしっかり捉え続けている印象だ。比較的硬めのスプリングセットでありながら、バンピーな路面にも順応してきたあたりは、さすが上位チームといえる。

 多くのチームが周回を重ねるにつれ路面は乾き始め、11時頃にはドライパッチが広がってダンプコンディションへ移行。各チームは待ってましたとばかりにスリックタイヤへ交換していく。工学院大学はエースドライバーがベンチマークタイムを記録した後、ドライバー選考を実施。昨年大会オートクロス2位という速さに定評のあるチームだけに、セカンドドライバーの座を巡る熾烈なタイム争いが繰り広げられた。

 

 この日、その重要なシートを獲得した新ドライバーは、「ストレートエンドの高速コーナーが滑りやすくて、リアが少し流れたんですけど、それを上手く抑えて走れたのがよかったと思う」「トラクションサイドのリアの挙動がわかりやすくて、安心してアクセルを開けていける」と冷静に振り返る。現状の課題についても、「(ブレーキが)ロックする感覚に経験がなくて、そこのリスクを取らないように走らせた」「ブレーキを少し早めにかけて、転がすように、コーナーミッドから加速していくような運転をしている」「そうするとどうしても、11コーナーやダブルヘアピンの進入が甘くなっている」「大会に向けては、自分の限界を一旦するところから始めて、準備をしていきたい」と語った。工学院大学のベストタイムは、エースドライバーが記録した67.7秒。路面がダスティだった影響もあり前日より約1秒遅いタイムとなったが、それでもこの日も堂々のトップタイムをマーク。力の違いを見せつけた。

ウェットセットでの収穫、新ドライバーも好走

 工学院大学に続く2番手でテストを終えたのは千葉大学。朝はウェットセットの確認に時間を割き、エースドライバーは「今回やりたかった、雨のセットの確認、内圧の確認ができて、感触のいいところを見つけるところができた」と、予定していたメニューを消化できたという。一方で、工学院大学と同様に乾き始めた路面には苦戦したようで、「昨日と路面コンディションが全然違っていた」「最初に乗って、高速コーナーに入っていったら『おお!あぶね!』っていう感じだった」「今日はこれでドライセットを見てもあまり良くないなという感じだった」と振り返った。

 

 午後は工学院大学と同様、ドライバー選考と練習に時間を充てた。「(エースドライバーの)1秒落ちくらいには入って欲しいなと思っていたが、それに近いところまで入ってきたので楽しみにしている」「これまで、エンディランスで2人のドライバーにタイム差があったので、ポジティブに思っている」「ドライビングについては、もう少し限界のスピードを上げて、使っている回転域も上げていって欲しいなと思う」と期待を寄せた。ベストタイムは69.0秒。こちらも前日から約1秒ダウンとなった。

茨城大学はセットに苦戦 日大生産は進化を披露

 3番手は前日に続いて茨城大学。前日に予告していた燃調セットを試した後、サスペンションセットの比較を行ったが、思うような結果は得られなかった。「リアが全然ねばらなくて、思ったよりもタイムが伸びなかった」「S字やスラロームで、振り返しでヨーが収まらず、POUを弱めるところも試したが、低速コーナーがしんどくなってしまって、良いところが見つからなかった」と振り返る。ベストタイムは71.7秒で、こちらも前日から約1秒タイムを落とした。

 そんな上位勢がダスティな路面に苦しむなか、前日を上回るタイムを記録したのが日本大学生産工学部だった。今年から10インチタイヤへ変更し、軽快な動きを見せる。マシンについてドライバーは、「去年までは、単気筒で13インチタイヤを使っていたが、今年は単気筒のままタイヤを10インチに変更した」「軽量化と、スラローム入り、一発目の回頭性の向上を狙った」「昨年の流れのまま、タイヤだけを変えたという感じで、大会でまずは10インチにしたことによる効果とか変化とか、データをしっかりとるのが目的」と説明した。

 

 チームは今回のもてぎテストを目標に車両を完成させており、ここまでの走行距離はわずか約2km。それでも完成度の高さを感じさせる走りを披露した。ドライバーも「本当に動きが軽くて、思うような動きをしてくれる」「今までも素直な特性だったが、それ以上になっていて、スラロームは去年よりも明確に良くなっている」「また、これまでだとアンダーが出てしんどかった奥の中速コーナーなんかもフロントが入るようになっていて、小さく旋回できるようになった」と手応えを口にする。ベストタイムは71.8秒。茨城大学に0.1秒差まで迫る4番手でテストを締めくくった。

 前回のJARIテスト、そして今回のもてぎ合同テストを通じて、関東勢は工学院大学が一歩抜け出した印象を強める結果となった。その後方には単独で千葉大学が続き、茨城大学や日本大学生産工学部などが並ぶ第3グループを形成する構図。ここへ関西勢、中部勢、北海道勢、九州勢の強豪校が加わったとき、勢力図がどう変化するのか。大会本番へ向け、他地域の動向にも注目が集まる。