飲み込まれた強豪チームたち

2022年大会、大阪大学は動的審査未出走に終わる。事前の関西合同テストでの快走からは全く想像出来ない結末が彼らを待っていた。ピットに話を聞きに行くとチーフエンジニアのコメントは「総合優勝を狙っていた」という言葉から始まる。「京工繊に負けない速さを求めて8月初旬から急ピッチで進めて来たが、車検対策がおざなりになってしまった。」「ブレーキ審査が通らなかったのは正直想定外だった」「8月のテストでブレーキ審査は確認出来ていたが、動的審査までに通らずフォローアップ走行に向けて対策しても通らなかった」「その後根本的な問題を抱えていることがわかったが、どうするかはまだ見えていない」というコメントから彼らの抱えている問題の大きさが窺える。またチームは騒音審査にも苦労していたようで、事前に自分たちで騒音測定してクリアすることを確認し、大会に向けて最終微調整もしたがそれでも通らなかったという。「調整した後に最終確認していなかったのは少しまずかったと思う」と終始冷静なコメントが続くがその表情からは悔しさが滲み出る。

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今年、大会運営はシェイクダウンが間に合わなかったチームや車検を通過出来なかったチームに対して特別にフォローアップ走行枠を用意した。しかしこの走行時間がデザインファイナルと重なっており、一時大阪大学はデザインファイナルとフォローアップ走行のいずれかを選ばなければいけない可能性もあった。結果として時間が変更され大阪大学はどちらにも参加することが出来たのだが、デザインファイナルを控えた中でフォローアップ走行にマシンを出したことについて聞いてみた。「やっぱり全く走れないのと、ちゃんと走れるのは違うと思ってマシンを出した。」「上位勢に食い込めることを示したかった。」とのこと。今年大きく変わったマシンのフィーリングについてドライバーも「モノコックに変わって凄いコーナリング性能が上がったと感じた。」「旋回中の粘りが全然違って、どんどんアクセルを踏んでいける車になった。」「ヨーが残った状態でも信頼してブレーキを踏める。」と自信を持っていたようだ。しかしフォローアップ走行は走り出して2周目、アタックラップに入る前にマシンは止まってしまった。

カーボンモノコックという大きなチャレンジへの代償を払うことになってしまった大阪大学だが、「来年も総合優勝を狙っていく」と最後は彼ららしいコメントで締めくくってくれた。

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photo by @125ascot
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2019年大会優勝チームの名古屋工業大学も今大会は技術車検に苦戦、5日間の中で多くのトラブルにも見舞われて苦しい大会となった。最後までエンジン始動に悩まされながらもぎりぎりアクセラレーションに間に合わせるが、スキッドパッドは間に合わず。その後走ったオートクロスは67.035秒で18番手、事前のエコパテストを下回るタイムとなってしまう。「オートクロスでエンジンが吹き上がらず、タイム出した後にパワーを失った。」とのこと。エンデュランス前日をその対応に費やしたが燃調を合わすところまではいけずエンデュランス当日の朝を迎える。エンデュランスのスタート、運良く燃調が合って走り出すことが出来た。マシンのバランスもアンダー気味だがおかしなレベルではなかったらしく、3周目には全チーム中5番手の64.535秒をマーク。その走りに観客からは期待の目が向けられたが4周目以降はペースダウン、5周目にはフロントウイングのトラブルでオレンジボールが出される。マシンを戻して車検の結果、オイル漏れが見つかりそのままリタイヤとなってしまった。エンデュランスを走ったドライバーは「タイヤが温まってきて調子が上がってきたところでオレンジボールが出されてしまった。」「本当に不甲斐ない。」と落胆の色を隠せない。来シーズンEVへの移行を発表した名古屋工業大学はICV最後の大会を総合33位で終えた。

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3年ぶりの現地開催は予想通り車検に苦労するチーム続出で、このように優勝を経験したチームであっても飲み込まれてしまった。静的審査、動的審査以上にチームに試練を与えることもある車検、来年はより多くのチームがこの難関を突破してコースに現れることを期待したい。