軽快な動きで上位に食い込む

「ウイングレスのマシンもいいじゃないか!」と再認識したきっかけは関西合同テスト時の大阪大学。この時、大会用ウイングが未完成でウイングレスで走行していたのだがピッチ、ロールのつながり良く、マシンの自転運動に引っかかりも無い極めてスムーズな動きだった。それは単にリアが軽いという訳ではなくダスティな泉大津の路面でもしっかりとグリップ感があるように見えた。今年からカーボンモノコックになった効果もあるだろうがそれだけではない感じだった。

そんなウイングレスの良い印象を持ったまま迎えた大会エンデュランス、他にも気になるマシンを目にすることになる。今年のエンデュランスのトップ10のうち5台がウイングレス。ちなみに、2019年のエンデュランスはトップ10のうち1台、日本自動車大学校のみがウイングレスだった。今回はそんなエンデュランスで存在感を示したウイングレスマシンにフォーカスする。チームの話を聞く中で様々な事情とメリットも再確認出来た。

「勝つために、信頼性と重量に挑戦した」

これまでウイングを持つこと無く上位に食い込み続けている日本自動車大学校で歴代受け継がれきた方針が「信頼性」だという。「毎年チームメンバーが入れ替わるため、各メンバーの大会参加が1回しかない」「確実に完走して成績を残すためにこの方針を維持してきた」と話す。この方針を維持する一方で重量増に課題を持っていたチームは今年「歴代最軽量」を謳うマシンを出してきた。「このままでは優勝は難しいと考え、勝つために、信頼性と重量に挑戦したのが今年のマシン」とのこと。こうした背景から重量を考えてウイングを付けていないマシン、エンデュランスでの動きはキレ味鋭く1コーナー飛び込みの迫力は上位チームの中でも指折り。このキレ味、ドライバーがストレートのアウト側パイロンぎりぎりまでマシンを寄せてコース幅をいっぱいに使った結果高い速度で1コーナーに進入出来ているところにある。高速コーナー進入で外に寄せていけるのはドライバーのスキルだけでは実現出来ない。高い速度でもドライバーの手中にあるコントロール性を実現している要素の1つは軽さだろう。そしてエンデュランス中、彼らのマシンを象徴する出来事があった。1コーナーでスピンをしてしまうのだが、直様ドライバーがスピンターンで体勢を戻してリスタートした。マシンに負荷のかかるスピンターンをドライバーが決めた瞬間に出来る様子は彼らが作ってきた信頼性と軽量化の成果を表していた。重量以外にも彼らがウイングを付けない理由がある。「ウイングの効果はあると考えている」「しかし、コロナ禍以前はシェイクダウン証明提出締め切り直前にマシンが完成していたチームが、ウイングの製作ノウハウが全くないところから新たに始めるのは工数の面で読めない部分が多いため、実行は難しいと考えて今年も装備しなかった」とのこと。シェイクダウンが間に合わない、大会当日も車検通過に苦労するチームが多く見られた今年の大会においては彼らの選択は例年以上に大きな効果があったと見る。

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【日本自動車大学校 チーム総括コメント】
2022年度大会で総合3位を獲得できたことを大変喜ばしく思います。動的審査前にはマシントラブルが多数発生し、本番でトラブルなく完走できるか心配でしたが、大会前にトラブル箇所を出し尽くせたことで無事完走することが出来ました。また、チームメンバー同士の仲が良いことが2022年の特徴であり、日ごろの明るい雰囲気を大会本番でも発揮してチーム一丸となって取り組めたことが今回の輝かしい成績を残せた一因だと感じています。そしてこの成績は私たちの力だけではなく、日ごろからご支援いただいているスポンサー企業の皆様やFAの先生方、温かく見守ってくださる保護者の方々のおかげでもあります。大変感謝しております。今後も優勝を目指して取り組んでいきますので、応援よろしくお願いします!

「工数、予算、技術等の不足から検討まで行えていない」

前年大会の順位がカーナンバーになる学生フォーミュラにおいて今年カーナンバー48のチームが総合10位に入ってきた、ホンダテクニカルカレッジ関東だ。「信頼性をベースに軽量化とコンパクト化を車両コンセプトに加えて開発を行った」というマシンは8月のエコパ合同テストでも20周以上を走り、この時の周回数は参加チーム中4番目、しっかり信頼性を作ってきた印象だ。エンデュランスではウイングをつけるチームに比べて若干フロントの動きが多くロール感があるが、回り込む動きは作りやすそうな印象。「基本のステアリング特性が強いアンダーステアとなり、練習走行の時間が十分に取れなかったことで根本原因が何であるかの切り分けに時間がかかってしまった」「最終的にはタイヤ内圧と前後のロール剛性を変更することでドライバーが望むバランスに近づけることが出来た」とのこと。オートクロスでは発動を狙って高めに設定したタイヤ内圧もエンデュランスでは天候が回復傾向であることも加味して急遽戻す方向で臨んだという。ウイングについては「工数、予算、技術等の不足からウィング装着の検討まで行えていない」「検討した上でウィングを付け、マシンの性能が向上するのであればそれに越したことはないと思う」「パワートレインの出力向上に成功した後、工数、予算と相談しながら検討を始めると思う」というコメント。日本自動車大学校が懸念した工数に加えて予算というのも大きな課題か。

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【ホンダテクニカルカレッジ関東 チーム総括コメント】
今年の大会で弊チームが全種目完走できたことは正直、運が味方してくれたことが大きかったと思います。スキッドパッド、オートクロス、エンデュランスではガス欠症状に悩まされました。会場で対応できなかった為にスキッドパッドでは1stドライバーはDNF、オートクロスではエンジンストール、エンデュランスでは2ndドライバーに大きくタイムロスがあり、特にエンデュランスでは1stドライバーのハーフウェット路面でのセーブした走りが無ければ完走は不可能だったと思います。また、早朝の外気温だったために水温の上昇も抑えることができオーバーヒートが起こることも有りませんでした。この不具合は三支部試走会直前に車両を完成させた為にテスト期間を設けることが厳しかったことが原因だとわかっています。来年度以降チーム運営から見直し、今年度よりもより良い車両を製作することを目指し活動していきます。