試練の連続、それでも前へ【早稲田大学】

ひと通り話を聞いた後、マシンを前に雑談する中でドライバーが「本当にすごい生命力ですよ。」とつぶやいた。彼がマシンを労うために選んだ「生命力」という表現はそのまま現在の早稲田を表していた。『チーム力』、『現場対応力』、『なんとかする力』等他にも言い方はあるだろうが、早稲田を表すにはどれも少し足りない気がする。
 今年、早稲田の変化を感じたのは7月のエコパテストだった。彼らが持ち込んだマシンの完成度こそ上位チームに及ばずトラブルも多かったがピットテントの雰囲気は上位チームのそれ以上だった。「走らせたい」という思いがメンバーの動きに現れていたのか、「何か違う」という印象を抱かせた。今回はそんな早稲田大学学生フォーミュラチームWaseda Formula Projectに焦点を当て、彼らの2022年大会を振り返る。

Waseda Formula Project都の西北「早稲田」に地を置くフォーミュラチームwaseda-fp.tumblr.com

 Waseda Formula Projectは2010年に創設された早稲田大学の学生フォーミュラチーム。2022年11月現在は25名が在籍しておりチーム歴代最多のメンバー数だ。これまでの最高順位は2019年大会の総合16位。マシンはSUZUKI製4気筒エンジンを搭載、Hoosier製13インチタイヤを履く。特徴はコンパクトなフットプリント。2022年マシンにおいてはライバルがホイールベースを1600[mm],1700[mm]に設定する中1540[mm]というショートホイールベース。トレッドもライバルたちが1200[mm]、1300[mm]に設定する中でフロントは1140[mm]、リアに至っては1090[mm]という国内チームの中でも一二を争うコンパクトな車両だ。その小ささは4気筒エンジン搭載マシンでありながらバンに乗ってしまうほど。今回は2022年チームリーダー佐藤氏、エースドライバー稲葉氏、セカンドドライバー丸山氏に話を聞いた。

画像
バンに収まる2022年マシン
画像
左から稲葉氏、佐藤氏、丸山氏

シーズン途中に目標を『完走』に再設定

 『総合15位』を目標に掲げてスタートした早稲田の2022年シーズン。これまでの最高順位が総合16位ということを考えれば妥当な目標にも見えるが2022年リーダーの佐藤氏はこれについて「コロナの時期もあって、チームのモチベーションも考慮して少しチャレンジングな目標にした」という。

画像

 しかしこの目標は7月のエコパテストで車検対応に危機感を持ったことをきっかけに『エンデュランス完走』へと再設定された。佐藤氏はその時を振り返り「せっかくここまでやってきたのに車検通らずに終わるのはチームにとって最悪のシナリオだった」「まずはそれだけを回避するようにした」と話す。それまでのチームは「メンバーは総合15位に対して現実味が無いと感じていた」「モチベーションのやり場なく迷走していた」という。これに対して目標を再設定したことは良い方向へとチームを動かす。「目標を転換したことによって皆で車検対応に向けていろいろ工夫することができた」「初志貫徹とはいかなかったが、次に繋がったと思う」とのこと。

画像

念願のファイナル6進出

 目標を完走へと切り替え準備をして臨んだ2022年大会だったが、早稲田は慌ただしいスタート切る。「(現地で)一応全部確認しておこうと見ていったら、あれ?って・・・」「明日の朝イチ(の車検)どうするか一日で考えなきゃいけない中で考えられることをやった」と車検の項目の中でも重要な箇所の不適合が判明したのだ。事前にチーム内で確認をしていたというがその時の確認方法に誤っており大会現地に入るまで気付けなかった。「(車検に対する)知見不足だった」と話す。最終的には修正対応策を施した上で車検スタッフに説明を重ね車検を通過することができた。 

画像

 不安定な天候となった大会3日目、各チームで戦略が分かれる中で早稲田は午後のオートクロスに2名のドライバーを集中させることを選択する。「ドライバーが厳しいスケジュールを計画したが、エンジニアがその計画通りにクルマを仕上げた」というチームは午前中にスキッドパッドのドライバー2名を走らせ、アクセラにも出走させた。午後にクラッチトラブルに見舞われるも対応してオートクロスにエースドライバーを並べた。彼の走りはSNSでも話題になることとなる。果敢に攻めた結果、ゴール前のT19で盛大にインリフトさせていた。前後どちらかのタイヤが一瞬浮くことはよく見られる光景だが、この時のマシンは内側の前後ともが浮き外側2輪でコーナーを抜けた来た。この映像によって動的での早稲田の存在感は一気に上る。しかしインリフトは『ちょっとしたオマケ』に過ぎない、何故なら早稲田はファイナル6に進出したからだ。

画像
Twitter @125ascot
Test Day

次の記事

2022 EV占有テスト