学生フォーミュラ日本大会2026|2年目車両でも定位置のトップ6、NATSに期待したい「その先」

Text : 蛙田 三也(Sanya Kaeruda)
Photo : 原島 由樹(Yuki Harashima),堀田 拓哉(Takuya Hotta)

2026年大会は、開催時期の変更に合わせて、昨年の車両を継続使用できる特別措置が取られた。上位チームの中で、この措置を選択したのが日本自動車大学校(NATS)だ。ICVクラスのトップ6では、唯一のSecond Year Vehicleとなった。その背景には、4年制大学の学生フォーミュラチームがサークルや部活、研究室内のプロジェクトとして位置づけられるのに対し、NATSでは通年のカリキュラムとして取り組み、卒業研究のテーマとしても扱われていることがある。4年制大学のように年間プロジェクトの進め方を調整する余地が小さかったことが理由と考えられる。例年より短い開発期間に加え、2年目車両で開発規模も小さい。数字だけを見れば不利な条件だが、NATSは例年通りのポジションで大会を終えた。トップ6に入ると同時に、関東ICV勢の最上位という立ち位置も守った。その背景について、今回はFAの先生に話を聞いた。

「今年の期間を考慮して、2年目車両という選択を取ってきた」「ただ、フレームは2年目だが、それ以外のパーツをバージョンアップして、取り組んできた」「2年目のフレームの耐久性も確認できた」「(2年目車両だからという点で)今年の学生たちが何か心残りがあったということはなく、これまでの先輩たちを同じように学ぶことが出来たと感じている」と話す。実際、サスペンションジオメトリーは大きく変更された部分のひとつだ。昨年はリアがめくれるような動きが気になったが、5月のJARIテストで評価したこともあってか、大会では比較的落ち着いた挙動を見せていた。

車両だけでなく、ドライバーにも変更があったNATS。昨年までのベテランドライバー2名が卒業した。「昨年、かなりいいドライバー2人が揃っていたが、卒業してしまった」「その部分、レベルを落とさないためにも卒業した1人には7ヶ月ルールを使って、走ってもらった」とのこと。ベテランとルーキーという組み合わせで臨んだエンデュランスだったが、こちらもいつも通り安定した走りを見せ、同志社大学、大阪大学に続く3位を獲得した。毎年のように安定したラップを刻み、エンデュランスで強さを見せる背景には、マシンの準備に加えて、「やはり校内にサーキットがあって、練習ができるというのが一番だと思う」「また、JARIさんやFM関東さんの力を借りてしっかり練習出来たことが大きい」とのこと。

一方、速さという点では、他のチームと同じ難しさを感じていた様子だ。「エコパが高速コーナーが多かったのに対して、ASEはタイトなコーナーが多く、そこに合わせ込む必要があった」「ASE3年目で、タイトなコーナーに合わせていくという方針は概ね間違っていないと感じるが、この路面のグリップレベルに合わせていかないといけない」「(ASEに対して)JARIはグリップが高く、そこで合わせたセットで持ち込むと苦しい部分があった」と、今年、オートクロス上位勢が口々に語っていた、スムースでサラっとした路面にどう合わせ込むかという難しさも聞けた。

いずれにせよ、2年目車両で戦いながら、確実に好成績を上げたNATSの強さを再確認する結果となった。同時に、学生フォーミュラという競技において、必ずしも新しいアイテムだけが武器になるわけではないという性質も、改めて感じさせられた。

そんな強さを持つNATSだからこそ、関東最上位の位置から、もう一段上がった姿を見てみたいと思う。コロナ禍が明けてから、走りからもわかる安定したマシン作りとチーム運営、ドライバー育成を武器に、高い順位を維持してきた。ICVクラスの順位を追うと、2022年が2位、2023年が3位、2024年が4位、2025年が5位、そして今年も5位。極めてレベルの高いところでの話ではあるが、確実にトップ6に入り続ける一方で、優勝争いからは少しずつ離れている。来年は今年のように7ヶ月ルールを適用できないことを考えると、前述を覆すことにはなるが、何かしら大きな武器を手に入れる必要もあるように感じる。繰り返すが、トップ6に入る術は、もう十分に手にしている。それ故に、次のステップに上がった姿を見たい。より強くなった関西勢の牙城を崩す存在になってくれることに期待したい。