レースエンジニアが見た学生フォーミュラ【NAKAJIMA RACING】

 【吉田出海データエンジニア】

「旋回へのロジカルかつ定量的に調査・検討」

現役当時は軽量がテーマの単気筒車両を手掛けていた自分は、実は軽量な4気筒マシンの代名詞である千葉大学さんの車両が現役当時から好きです。昨年度からタイヤの前後異径化することでさらに強化されたトラクションにより、どんな加速を魅せてくれるのかとても楽しみでした。昨年度の千葉大学さんのデザインレポート(母校が交換していただいたものを拝見させてもらいました。)では、このタイヤの前後異径化による旋回への影響を非常にロジカルかつ定量的に調査・検討されていました。そのアップデートの成果を、ぜひ大会で存分に発揮していただきたいです。

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photo by @GakuF_JP
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photo by @GakuF_JP

「タイヤの顔」

各大学の車両を見せていただいた中で気になったことは、タイヤの表面状態の差です。参加校のタイヤの表面状態とラップタイムを比べると、「やっぱりね。」というような相関がとれる違いが見られました。自分は学生の時にこまめに走行後写真を取って管理するクセをつけるよう加藤エンジニアに教わり実践してましたが、幸いにもついたそのクセが仕事で役立つ場面は多いです。ぜひ「タイヤの顔」をこまめに記録し、比べてみてください。定性的なデータになってしまいますが、クルマを速く曲げるための沢山のヒントが隠されているはずです。

「沢山の人に認められている」

京都工芸繊維大学はコロナ禍を経て難しい環境下の中での活動が強いられているにもかかわらず、この2年間毎年新しいネタを込めた車両を準備されています。新しいネタを込めるにはメンバーの皆さんの努力はもちろんですが、スポンサーをはじめとする周りの大人の支えが必要だと思います。長く続いているこんな大変な社会状況の中でも、「応援したい」と思う大人が多いことは、それだけ京都工芸繊維大学の活動が沢山の人に認められているということだと感じます。自分も他人に認められる仕事をしなければ、と刺激を頂くことができました。

「知識と実践を経験に変えて、武器を磨く」

とあるチームの方とお話した時、「車両に関する知識が足りず、チームに貢献できない」ということをおっしゃっていました。たしかに、知識が必要不可欠なのは言わずもがなです。しかしすべてを知識不足のせいにするのは良くない、と仕事をしていると感じるようになりました。学生フォーミュラの活動、ひいてはクルマ作りの醍醐味は、自分が考えたことを実際のクルマにアウトプットすることだと私は思います。網羅した知識を得ることにこだわっていては、その醍醐味を味わうことはできないはずです。なので、ぜひ身につけた知識をクルマづくりへ生かすことに意識を置いて欲しいなと私は思っています。ロール剛性のことを学んだら、スタビを片方強くしてみる。タイヤのことを学んだら、空気圧を張って走ってみる。するときっと、学べば学ぶほど今すぐクルマを走らせたくなるはずです(笑)知識と実践を経験に変えて、武器を磨くのは楽しいですよ。


日本でも学生フォーミュラからモータースポーツの世界に進む学生が増えてきた。これから加藤エンジニア、吉田エンジニアに続く学生が出てくることを楽しみにしよう。