勝負の年、今シーズン最も勢いのあるドライバーとチーム【名城大学】

自身の運転の特徴は?という問に対して「車の動きを他に比べて細かく説明出来るところ」「そこは他大学のチームに比べてもかなり優っていると思う」と答えた高口。実はキャリアのあるドライバーが学生フォーミュラチームに来て最もメリットになるのはここである。圧倒的な速さ以上に、限られた時間で速さを見つけてそれらを組み立てて行くスキルが肝になってくるのだ。

ではキャリアの有無による違いはどこに現れるのか。「アンダーやオーバー、コーナーの入口・中・出口でマシンがどうかは学生フォーミュラをやっている学生でもコメントが出来るが、自分はそこからもっと細かく分けている」「小さい頃カートに乗っている時から無意識にやっているが、直線のブレーキで車がどうか、ステアインの瞬間がどうか、ステアを戻していくところでどうか、と細かく分けてフィーリングを得るようにしている」という。

学生フォーミュラの特殊な競技に臨む上で高口には意識していることがあるという。「100%は絶対求めないようにしている」「8月のテストで9月の本番をある程度想定するが、仕込みすぎると外した時にチームもドライバーも落ち込んでしまうので自分が妥協出来る範囲のところで留めるようにしている」とのこと。そのためかチームに対してもネガティブな感情を持ち出さないんだとか。「車で出来てないところは自分よりも作った本人たちが一番わかっている」「何かあって怒って速くなるなら怒るが、だいたい雰囲気が悪くなるだけ」と話す。

昨年は8月シェイクダウン、その直後の支部合同テストからマシンを仕上げてきた

今シーズン国内チームの中で最も早くシェイクダウンを済ませた名城、新車についてチームリーダーの荒川と高口とコンビを組むドライバーの窪田に話を聞いた。昨年からの変更について荒川は「昨年からの変更点で大きいのはドライピングポジション、低重心化を狙ってポジションを下げた」「ドラポジの変更でフレーム全長が伸びるのを嫌って、メインフープ以降を昨年比10%程短くした」「そのためにエンジンを15度程後傾させた」という。エンジン搭載角については事前に試験をしてエンジン内部でのトラブル等がないことを確認しているのだとか。

2023チームリーダー,荒川
4月6日にシェイクダウンした2023年マシン
エンジンを後傾、エキゾーストがバルクヘッドを貫通する
今年上位チームトレンドのアルミ製のペダルボード

またドライバーと同時にエアロも担当する窪田、「低重心化のためにリアウイングを80mmほど下げた」「昨年は実装状態でのエアロバランスがフロントに寄っていたためこれくらい下げてもマシンとしてはバランスさせられると思う」とのこと。またステアリング系にも変更が入り操舵のリニア感が増しているという2023年マシン、シェイクダウンを担当した窪田もこの点は好感触な様子。「昨年のマシンも乗りやすかったが、今年の方がステアからの情報が多く得られるようになった」とのこと。シェイクダウン時点でも昨年からの軽量化を実現しているというが、更にここからバッテリーやサイレンサーの変更で数kg単位での軽量化を見込めるという。

高口がコンビ組むドライバー,窪田
2022年大会エンデュランスの前半を担当した

荒川は高口について「(高口は)全体を見て他のドライバーとバランスを取りながらやってくれている」「高口が何でも乗ってくれて何でもやってくれる人なので、もう1人のドライバー(窪田)に合わせた方がトータルで取り分が多い」と話す。「彼はドライバーメインでやっているが、会計等や走行テストの時の指揮も取ってくれてドライバー以外のところでも役に立ってくれている」という。

今年の抱負を荒川に聞くと「今シーズン、ライバルは京工繊だけだと思っている」「昨年の状態でちゃんと走らせれていれば勝負になっていたと思う」「今年さらに走り込んで軽量化を進めればアクセラ以外では勝てる」「昨年の差を埋める手立てはある」と終始自信に満ちたコメントが返ってきた。「先輩が始めた低重心軽量化のコンセプトに昨年ヨー慣性モーメント低減が加わえてやってきた」「みんな死ぬ気でやってきたのに全然結果が残っていない」「今年どうしても結果を残したい」と意気込みを語る。

高口は「一番不安なのは海外勢、動画とかでしか見たことがなくどこまで来るかわからない」「昨シーズン経験して昨年よりは作戦が立てやすくなると思う」「シェイクダウンも早かった、ここから先、昨年よりもデータが取れるので速さについては不安はない」「やはり京工繊を食い止めたい」とチーム、ドライバーともに勝負の年になりそうだ。

名城大学学生フォーミュラチームMeijo Racing Team 公式サイト
名城大学 | Meijo Racing Team | 日本 (meijo-racingteam.jp)