勝負の年、今シーズン最も勢いのあるドライバーとチーム【名城大学】

今回も京都工芸繊維大学[6年振りのカーナンバー1を背負う新エース【京都工芸繊維大学】]に続き学生フォーミュラのドライバーに焦点を当てる。今回は名城大学のエースドライバー高口大将(たかぐち だいすけ)。プロドライバーを目指している高口はカートを経て現在は4輪の入門カテゴリーSuperFJにも乗る。そんな彼に学生フォーミュラはどう映るのか、フェスティカサーキット瑞浪でカートのテストを行っている高口のもとを訪ねた。

フェスティカサーキット瑞浪,カートテスト
フェスティカサーキット瑞浪,カートテスト

これまで輝かしい戦績を残してきている高口。2011年のブリヂストンシリーズでは現在F1直下のFIA F2で戦う岩佐選手や今シーズンSHADE RACINGからGT300に参戦する清水選手、そして現在大阪大学で同じく学生フォーミュラのドライバーを務める中田選手等がいた濃い世代を勝ち抜き西地域チャンピオン獲得、翌年は上位クラスで東地域チャンピオンにもなった。2018年には全日本選手権でチャンピオンを獲得、日本代表としてROTAX MAX世界大会へも挑む。2019年からはSuperFJにステップアップ、今年はSuperFJジャパンリーグにエントリーして全国を転戦している。

まずは学生フォーミュラに入ったきっかけを聞いた。「元々大学ではレースから離れて全く違うことをやろうと思っていたが、カートのチームメイトでもあった大学の先輩から『1年だけでもいいからやってみてよ』と誘われたのがきっかけで学生フォーミュラに入った」という。「正直最初はそんなに意欲はなかったが、学生だけでフォーミュラカーを作るところに凄さを感じて段々活動に積極的になった」「小さい頃からカートをやっていたので、自然な流れで(学生フォーミュラの)ドライバーを担当することになった」「むしろ乗らない理由がなかった」とのこと。

20分の走行セッションを繰り返してテストを重ねる高口
セッションの合間にはカートの整備も自ら行う

カートもフォーミュラカーも経験してきた高口にとって学生フォーミュラとはどんな乗り物なのか。「4輪の構造(サスペンションやデフ等)をしているのに、カートのようなクイックさがあるところが難しい」「1つのコーナーに対して曲がる時間が短いので、そこに合わせ込むのも難しいと感じている」「スーパーFJの場合は(ステアリングを)切ったら切っただけ曲がっていくし、コーナー進入の姿勢変化ももう少し時間がかかる感じ」「うち(名城)のマシンの特性かもしれないが、ステアリングを切ったらすぐ動く」「ステアインしてすぐのところは手応えがあるが、大舵角になるとねばりが無くなる」とスーパーFJと学生フォーミュラのステア操作に大きなギャップがあり運転の修正に苦労したところだという。

タイヤについては熱ダレの振る舞いに難しさがあるようで「4輪やカートのタイヤは熱ダレしてもまだ踏ん張りがあるが、学生フォーミュラのタイヤは熱ダレすると一気にズルズルになる」「ゴムの剛性が無くなる感じ」「ある程度学生フォーミュラで経験を積んで来たドライバーだと戸惑ってしまうと思う」とのこと。

初めての大会となった2022年、見事2位を獲得したオートクロスについて「本番になると雰囲気や路面がガラッと変わって、あの日は路面自体も良くはなかった」「できるだけ出走を遅らせたかったが、遅すぎると今度は日が傾いて路面温度が下がってしまう、そのバランスをとった」「結果としてオートクロス1位だった京工繊もうちの3つ後くらいに出走している、あのタイミングがベストだったと思う」と難しいコンディションになった昨年のオートクロスを振り返った。

また「オートクロスは相当シビア」「F1とかは予選前にフリー走行があってマシンの確認が出来るが、学生フォーミュラは当日のフリー走行が無くてぶっつけ本番でしかも実質1周しかアタック出来ない」「自分としてはプレッシャーがかかるオートクロスは好きだし、その1周に学生たちの1年間が詰まっているというところは面白いと思う」とも話す。

2022年大会オートクロスはトップ京工繊と1.6秒差の2番手
ヘルメット後頭部に入った「大」の文字が彼のトレードマーク