2022 EV占有テスト

富士山が見えるほどの快晴でも気温は低く、手で触ってぬるく感じるほどしか路面温度が上がらない、そんな師走のエコパに3台のEVが持ち込まれた。静岡大学、神奈川工科大学、静岡理工科大学の3チームでいずれも後輪駆動EV。

静岡理工科大学

2022年大会EV部門で優勝を飾った静岡理工科大学だったが、電気系部品や回路が大会直前で完成して評価も出来ないまま持ち込んでいたため不安を抱えた状態での走行だったという。「運良く走りきったというのが実際」と話す。

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そんなチームは大会時と異なるギアレシオのマシンを持ち込んだ。これについて「大会時はモーター負荷を考慮したギア設定だった」「今回は本来やりたかった仕様で持ち込んだ」とのこと。この日は2023年のエンデュランス担当予定のドライバーが乗り込んだ。「ギアを変更して初めて乗ったが、かなりトルクがあってちょっと踏むだけでリアが出る」「低速域からの加速がカンカンして、かなりドンと上がって扱いが難しい」と苦戦しているようだ。

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今回のギア仕様は以前のテストでエラーが出ていたらしく今回はそのトラブルシューティングをするとのこと。安定したチームオペレーションで淡々とテストをこなす様は流石優勝チーム、といったところ。制御系のトライ&エラーの結果、テスト終盤に症状再現に成功。チームは「今回不具合が出せたので、今後安定的に動作させるために取り組んでいきたい」と話す。また大会時からステアリングジオメトリに変更を加えて来たらしく、その部分の感触は『ポジティブ』だったようだ。

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EV占有について
学生フォーミュラを開催する自動車技術会は2025年を目処に参加チームの半分にまでEVを増やすことを目標としている。これを前提として「(マシンが走ることで)チームの盛り上がりを体験してほしい」「EVを普及する中でチーム同士での連携、情報交換をしてほしい」という狙いから『EV占有』でのテストを開催しているとのこと。一方で少しでもエコパを走りたいチーム、とりわけICVチームからはEV占有とすることに対してリクエストも出てくる。これについては「ICVチームには(走行機会を作って上げられず)気の毒なところはあるが、(占有の走行時間を確保する等)EVはそれくらい手厚くしてしないと続けられない」とのこと。実際に今年の大会はEVの完走率が極端に低く、学生たちへのサポート強化は必須だろう。