好調な岐阜、爪を隠す名城、昨年ATX上位の実力は?【エコパ合同テスト】

8月7日~9日の3日間で開催されたエコパ合同テスト最終日午後セッションはダンプ路面でのスタートになり、スリックタイヤでコースインするチームも見られた。しかし直後に雨が降り出して路面はリセット。そこから先は午前セッション同様に断続的な強い雨で、途中赤旗中断も挟みながらの走行となった。トップの工学院が唯一69秒台に入れ、次の京工繊と岐阜大学が70秒台をマーク。3チームとも比較的水量の少ないタイミングでのタイムと思われる。このテストで初めて公に姿を現したNATSは74秒台。SuperFJドライバーを乗せる名城と早稲田は75秒台でこの日を終えた。

午前中に、あるチームのメンバーから「今日の注目はどのチームですか?」と聞かれた際に最初にあげたチームが工学院だった。というのも、今シーズン何度かテストの様子を見てきて、ドライ・ウェット限らずその日の路面に合わせ込む速さとチームのオペレーションは軍を抜いていたからだ。その予想通り、ウェットでトップタイムを出したのは工学院。路面による影響を受けてもマシンのバランスが大きく変化しない印象で、ドライバー、チームともにマシンを制御下に置いていた。

同様にウェットでも動じることなく、淡々と対応していたのは岐阜大学。前日の走行ではフロントウイングのトラブルにより、貴重なドライでの走行を1アタックに留めてしまったが、この日は修正して順調にマシンを送り出していた。以前、チームに話を聞いた通り、セットアップをメインに進めるドライバーが先に乗り、セットが決まったところでアタッカーを投入するという流れでこの日も走らせていた印象。ウェットの中での安定感はひと目見てわかるほど。特に1コーナーのリアの落ち着きは素晴らしく、ライバルと比べても高い速度で進入していた印象。「午前中にスラロームを進むに連れてリアの振れが大きくなる症状が出ていたが、もう一人のドライバーがセットを進めてくれて改善されていた」「レインでこんな走れるんや!ってぐらいに好調だった」「さすがにストレートエンドの水溜りでは(ハイドロで)グリップが薄くなる気はしたが、空気圧を調整してもらって朝一番よりはだいぶおさまっていた。」「基本的にはしっかりグリップしていた」とかなりの好感触だった様子。

そのウェットセットを詰めるにあたり鍵になったのは『スポッター(監視役)』の存在。マシンの側についてドライバーとコミュケーションを取るセットアップエンジニアに加えて、岐阜大学はスポッターを配置。無線をつけたベテランのメンバーがコース脇でマシンの挙動を見ながらチームとコミュニケーションを取っていた。通常のサーキット走行であれば、コースにカメラが設置されていて、一時的ではあるがピットからマシンが走っている姿を見ることが出来る。しかし、学生フォーミュラの場合そういったカメラは無く、コースの奥に行くとマシンの動きを見ることが出来ない。とはいえ、チームの指揮も同時に取るセットアップエンジニアがマシンの側を離れる訳にはいかない。その結果、多くの部分をドライバーコメントに頼ってセットを詰めていくことになる。そこで岐阜大学が導入したスポッターが効果を発揮する。セットアップエンジニアが見えないマシンの動きをリアルタイムにスポッターが伝えることで、セットアップに使える情報が格段に増え、ドライバーコメントの裏取りも出来るというものだ。コメントを聞く限り、ドライとウェットでバランスが変わらないマシンの素性の良さはもちろん、こうした現場での取り組みも彼らの強みだろう。

前日はブレーキペダルのトラブルよって一度大学に戻り、過去のマシンからペダルを拝借、修正して再びエコパに戻ってきた名城大学。シェイクダウンしてから一度もマシンに乗れていないというエースドライバーが、午後セッションすぐにコースイン。ダンプ路面に対してUsedスリックで出たという。今年初乗り、ウェットにスリックという難しい状況でもポテンシャルを感じたらしく「エアロの効果を感じて、安定感があった」「今年変更したサイドフロアの効果が出ているのでは」と語る。ウェットでのタイムこそ上位に及ばないものの、上位に対してのギャップは小さいと見ているらしく「ドライはまだ見られてはいないが、十分に戦えると思う」とのこと。エースがチェックした後はウェットタイヤに履き替えて、もう一人のドライバーが走行を重ねる。高速の1コーナーの安定感もありながら、スラロームでのパイロンへの寄せ方を見るにコントロールもしやすそうな印象だ。

昨年オートクロス2番手の名城、3番手の岐阜、どちらのマシンもポテンシャルの高さを感じさせる出来で今年も上位に来そうな予感だ。そこに工学院、千葉、NATS等も加わり僅差、接近戦の大会に期待したい。