日本工業大学の安定感は変わらず、淡々と準備中【茂木合同テスト】

7月22日、23日とモビリティリゾートもてぎマルチコースにて開催される合同テストには2日間で21チームがエントリーした。各日程の参加チームは以下の通り、今シーズンでは最も参加チームの多い合同テストになりそうだ。

【参加確定日/参加校】

7月22日(土)計6校(五十音順)

埼玉大学
芝浦工業大学
帝京大学
東京都立大学
日本工業大学
ホンダテクニカルカレッジ関東

7月23日(日)計16校(五十音順)

茨城大学
東京理科大学
群馬大学
東北学院大学
工学院大学
東北大学EV
上智大学/青山学院大学EV
富山大学
千葉大学
日本大学生産工学部
東京大学EV
ものつくり大学EV
東京都市大学
横浜国立大学EV
東京農工大学
※新潟大学 見学のみ
※当日参加出来なかったチームも含まれる

7月22日は13:00~17:00、23日は9:00~12:00と13:00~16:00に走行枠が設けられた。

7月22日午後、コンディションはドライで、日差しも強く路面温度も50度を超えていた。また会場のマルチコースは、エコパや泉大津といった駐車場路面では無く、走行用の路面でμが高い印象。チームにとっては、このグリップする路面を使って上では常にエコパ路面を想定する必要がありそうだ。関係者によれば「ここでスキッドパッドをやって4.7秒くらい出てないとエコパに持っていっても5.0秒出ない」とのこと。

茂木テスト前半の注目はやはり昨年総合5位の日本工業大学。今年は5月にシェイクダウン、走っているマシンを見ても、これまでと変わらず安定感がある印象だ。この日はスキッドパッドを精力的に走行。タイヤ内圧のテストが主なメニューということで、頻繁に内圧やトレッド温度の測定をしていた。ドライバーは「今日はスキッドパッドがメインで、やりたかったことは出来たかな」「いつもより低い方向で試している」「去年は結構高めで走っていた」「去年の大会のエンデュランス走行後に結構上がっていて、(内圧を下げるセットで)グリップが下がるのを防げないか試している」とのこと。また今回印象的だったのは日本工業大学のスラローム。とにかく回頭性が高い。ドライバーが舵を入れてからマシンの鼻先が入るまでが速く、マシンを後方から見ていると左右に移動する速さに驚いた。「今日走った感じだともうちょっと走りやすく出来るかなという感じ」「ちょっと突っ込み過ぎていて、アンダーな感じもある」とドライバーとしてはまだまだ改善の余地ありといった感じ。

次にホンダテクニカルカレッジ関東。昨年完走を果たし、いくつかある自動車メーカー系専門学校としては最上位につけた。今年はフレームの内製化に始まり、国内チームの中で一、二を争う製作の早さだった。少し車体が出来てからシェイクダウンまで時間を要したようだが、7月3日にシェイクダウンを完了させている。このチームも日本工業大学と同様スキッドパッドで入念にチェックしていた印象。課題は昨年から続いているアンダーステア。マシンとしてもアンダーな傾向にあって、舵角を大きくしたところでのグリップダウンを気にしているとのこと。ドライバーは「去年からずっと定常円でアンダー、フロントがどんどん外側に逃げていく傾向があったが、それがまだ治っていない」「スロットルを開けていくところでプッシュアンダーが出てしまう」と話す。このコメントを聞いているタイミングでもバネのプリロードを変更していて、「レークを付けてフロントに寄せていっている」とのこと。マシン、タイヤの特性をつかんでアンダーを消しに行けるかが今年の鍵になってきそうだ。

昨年大会では新規参入に近い立ち位置でありながら、しっかりと完走してきた東京都立大学はシェイクダウンしたてのマシンを持ち込んだ。「去年よりスラロームの切り替えるときのフロントの入りが良くなっている」「今年はステアリングジオメトリーを変更したが、多分それが効いている」とドライバーは好感触の様子。ただスラロームではリアインリフトが見られ周囲からも気にする声が聞かれた。

「ダンバー、バネの設定が煮詰まっていない」「シェイクダウン直後はレギュ対応に時間を使っていて、セッティングが煮詰められずこんな感じになっている」と険しい表情を見せたのは帝京大学。「今回は去年と比べてマシンがどういう状況か確認したかった」「だいたいやいたいことは出来たがダンパーの交換に時間を要してしまって、思ったよりも走行距離が稼げなかった」とのこと。

昨年総合11位につけ、毎年安定した印象の埼玉大学だが、この日は電装系トラブルでエンジン始動出来ず走行は叶わなかった。「今回は走るつもりでマシンを持ち込んだが、製作が遅れて電装系にしわ寄せがいってしまった」とのこと。新しいマシンは「来年以降10インチ化も視野に入れてプルロッドからプッシュロッドレイアウトに変更してきた」「設計製作含め『とりあえずやってみた』という段階」「三支部では走れるように準備をしていきたい」と話す。まずは各チーム三支部に向けて修正、調整を進めるといったところ。