『エコパ想定』で走る上位チーム、8月のエコパテストを見据えた調整が続く【茂木合同テスト】

午前のセッション終了間際に千葉大学、日本大学生産工学部等がブレーキテストをクリアしたことでコースに出る台数が増えてきた茂木合同テスト2日目午後セッション。晴天のコンディションも相まって真夏のテストの様相を呈してきた。午後セッションの大きな流れはスキッドパッドで定常のバランスをみたあと、スラロームに移行して応答性を確認、終盤にアクセラレーションを走ってシフター等を確認していた印象。各チーム、特にスキッドパッドに多くの時間を割いていた。

午前の富山に続き、スキッドパッドでバランスを見ていた工学院も午後セッションに入ってNewタイヤを投入。「持ち込んだUsedがもう(摩耗して)無くてここでの投入となった」「スキッドパッドでUsedに対するNewのグリップ上がり代を確認したかったことも理由の一つ」とのこと。このNewをこの茂木テストで使って、三支部でも履く予定だとか。手持ちNewタイヤの在庫についても匂わせていて、富山同様に備えは十分なようだ。マシンの方は午前のスキッドパッドで感じた違和感拭えずスラロームでもマシンをチェック。ドライバーはフロントの弱さ(グリップの低さ)とリアの腰砕け感を訴えていた。マシンを確認するとリアトー周りに緩みがあり、ステアリングのレシオにも想定外の設定が発覚したとのこと。「今回はスキッドパッドにあったステアリングのレシオを探りたい、という方針でテストに来たが、持ち込みのセットとテストの進め方についてチームの中で行き違いがあった」「フレーム塗装の関係で(このテストの当日)朝方まで組んでいたこともあって、トーロッドの緩みに気づけなかったかもしれない」と、今シーズン順調にテストメニューをこなしていた印象の工学院らしくない状況にチームも少しバタバタした様子。これらを修正したあとはフロント、リアともに落ち着きスキッドパッドは5.0秒台までいったようだ。

スキッドパッドで工学院に続く速さを見せたのは千葉大学、富士での不調を払拭するように走行を重ねる。マシンとしては、今回変更を加えたフロントのバネ設定は良い方向に効いているようだが、それでもまだ少しプッシュ感は抜けきらないのだとか。途中キャンバーも変更していた千葉だが、見る限り大きなセット変更はせず、ドライバーを変えながらスキッドパッドを重ねていた印象。工学院や、後から出てくる富山大学が、手数多くセットを変えているのに対して、千葉はある程度のバランスで割り切って走らせているようにも見えた。先のテストレポートでも書いたように、今回テストをしている茂木のマルチコースは路面のμが高い印象。それにある程度バランスを合わせないとマシンの評価が出来ないが、そればかりに時間を割いていると本来やりたいことが出来なくなるため、チームの判断が分かれるところとなった。千葉は富士でやり残していたエアシフターのテストも実施。メインフープブレース付近に小さなエアシフター用のタンクが付いていて、そこからエアチューブが伸びる。アクセラレーション、加速時にはスーパーフォーミュラのようにパシュパシュとシフトチェンジの音が聞こえる。途中エア切れでシフトが難しくなるシチュエーションもあったが、タンクを交換して対応も出来る様子であった。

富山大学は午前の終わりに新しいエキパイが割れて旧品への交換を余儀なくされた。「元々溶接が上手くいってなくて、パテで持っていたところが割れてしまった」とのこと。交換後に走ったドライバーは「新しい方(エキゾースト)に合わせた部分もあって、そこと旧品のマッチングが上手くいっていない」という。セットアップは車高をメインに変更したらしく「車高の調整が結構効いて、いい方向にいっている」と感触はいいようだが、バランスとしてはまだアンダーよりなのだとか。またスキッドパッドでの左右差、左右でのバランスの違いに悩んでいるという。「いつもプライベートテストしていて、直近のテストでは右回りがオーバーよりで、左周りがアンダーよりになっている」「ここに来るとその傾向も変わって頭を悩ませている」とのこと。昨年のオートクロスを走ったドライバーも乗り込みマシンを確認していた様子。スラロームではまだ詰めきれていないところがあるようで「スラロームを少し乗っただけだが、昨年のマシンのほうがスムーズだったかもしれない」「フロントにもたつきを感じ、リアの追従性も悪い」と課題を残しているようだ。

先日富士テストでシェイクダウン翌日とは思えないほど順調に走った東京農工大学は、茂木に来ても変わらずマシンのアジャストを進めていた。ドライバーに話を聞くと「先日の富士でバランスがアンダー方向だったため、バネ変えて走ろうとしたが時間切れで確認出来ていなかった」「今回はバネとARBの設定を変えて持ち込んだが、ここに来て走ってみたらスピンしそうなくらいオーバー方向にいってしまった」「そこからARBを戻す方向で調整した」「だいぶ変わってかなり乗りやすくなったが、まだ少しオーバー方向にいっていて、大会コースの1コーナーを考えるともう少し安定方向に持っていってもいいかなという感じ」とのこと。テストにマシンを持ち込んでセットを変えながら走り続ける、モータースポーツでは当たり前に見る光景だが、学生フォーミュラではシェイクダウン直後でここまで順調なケースは稀である。「今年メインで動いてくれているメンバーには、昨年から積極的にテストに参加してもらっていた」「その中である程度仕事を任せて、自分たちで考えてやってもらうようにしていた」「今年テストをする中でも成長して、的確に指示が出せているように見える」とチーム力の向上を実感している様子。

午前セッション最後にマシンを出して走り始めた日本大学生産工学部、シェイクダウンから電装類を大会仕様にして持ち込んだとのこと。今のところはそこのトラブルは出ていないが、シフトと燃料系のトラブルに見舞われていた。ドライバーは「ギアの入りが悪くてスラロームで失速してしまったが、燃料系のエア噛みもあって原因救命しているところ」とのこと。マシンのフィーリングについては、去年のマシンから大きく軽量化されていて、動きの軽さを感じているという。またタイヤもスポーツラジアルタイヤからHoosierスリックに変えたこともパフォーマンスに効いているらしく「やはり動きは機敏になっていて、ドライバーへの負担も大きそう」「タイヤ1本当たりの重量も違って2kgぐらい軽くなっている」グリップアップとともに応答性の向上も実感している様子。チームとしては、まずここでトラブルを出し切って8月の支部合同テストに向かいたいところだ。