躍進する【富山大学】

新型コロナ感染拡大によって活動が制限される関東や都市部のチームとは対照的に地方に活動拠点を置くチームの活動が際立っている。そうした地方のチームの中から今回は躍進する富山大学をピックアップする。

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私が彼らに注目したのは彼らがSNS(Twitter:@Toyama_tuf)に新しい10インチホイールの写真をアップした時だ。そのホイールは静岡大学が先行してテストしていたもので、昨年大会で販売が発表されていた『新規アイテム』だった。てっきり中部や関東の上位、中位校から順に広まっていくものと思っていたため、富山大学が入手採用したことには驚いた。また10インチという点も気になった。ここ数年で4気筒エンジンを積むチームが軒並み10インチ化している印象だが、そこに富山大学がトライしたということにも驚きがある。

ここまででお分かり頂けたと思うが当初の富山大学に対する私の期待値は決して高くなかった。しかし彼らの車両や活動場所は見たり、彼ら自身の話を聞いて期待値は一気に上がることになる。

富山大学は2011年から参戦していて現在のメンバーは11名とのこと。富山駅から車で10分ほどの距離にある富山大学工学部キャンパス内、創造工学センターが彼らの活動場所拠点だ。活動場所見て驚いたのは「レーシングファクトリー」然とした充実した作りであること。整備スペースは室内からも行き来でき、さらにシャッターを開ければそこから車両の搬入出が出来きるようになっていた。設計室(プロジェクトルーム)は整備スペースから加工スペースを隔てた奥にあって室内にはPCが並ぶ。壁には彼らが『カニ』と呼ぶジオメトリー検討用模型や歴代車両で折れたハブ、破裂したというインテークボックス等も置かれている。

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また設計室の反対側には部品保管用の棚もいくつか設置されていて新品の10インチホイールが置かれていた。一つの施設の中で、車両の保管整備、設計、加工製造(※この施設で全ての加工が出来るかは不明)、部品保管が出来るあたり正に「レーシングファクトリー」といえそうだ。

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環境や予算面でも比較的充実した彼らだが、昨年まで完走した実績はなく車両の製作もままならない状況が続いていたという。そこに来て2019年大会では初めて完走を果たし、その勢いのまま10インチ化に着手、車両を完成させ実走行に至っている。新型コロナの影響で全国的にプロジェクトの進捗が遅れている状況を考えればその勢いは凄まじい。

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